2000 Fiscal Year Annual Research Report
DNA修復阻害・腫瘍内酸素化改善による放射性医薬品内照射療法の抗腫瘍効果増強
Project/Area Number |
12670859
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
絹谷 清剛 金沢大学, 医学部, 助手 (20281024)
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Keywords | 放射性医薬品 / 内照射療法 / 細胞周期停止 / メチルキサンチン誘導体 / 放射線増感作用 |
Research Abstract |
機能的p53の欠失腫瘍細胞は、電離放射線によるDNA障害を受けた場合、細胞周期のG2期で周期停止を示し障害修復を行う。methylxanthine誘導体(pentoxifylline、caffeine)が周期停止を抑制することにより、放射線増感作用を示すことが知られているが、放射性核種による低線量率照射に対する影響の詳細は不明である。本研究では、pentoxifylline、caffeineによるLS180ヒト大腸癌細胞株(機能的p53欠失)のβ線低線量率照射に対する増感作用および照射細胞の細胞周期を観察した。試験管内でRe-186標識抗大腸癌抗体によるβ線照射(24時間)を行った後、clonogenic assayにより細胞生存率を観察した。pentoxifylline、caffeine共に濃度依存的に細胞生存率低下を増強した。増感率はpentoxifylline 0.5mmol/Lあるいは2mmol/Lの存在下で1.50、2.18、caffeine 1 mmol/Lあるいは5mmol/Lの存在下で1.54、2.63であった。フローサイトメトリーによる細胞周期分析の結果、非照射細胞では11.3±1.66%がG2/M期に存在するのに対し、照射細胞では40.2±1.46%がG2/M期細胞周期に存在し、細胞周期停止が確認された。一方、pentoxifylline 1mmol/L、caffeine 2mmol/Lの存在下においてG2/M期細胞は各々19.8±8.12%、26.9±6.21%であり、これらの薬剤による細胞周期停止抑制が認められた。これらの結果より、β線低線量率照射が照射細胞のG2期周期停止を誘引することに加え、methylxanthine誘導体による放射性医薬品を用いた癌に対する内照射療法の効果増強の可能性が明らかにされた。
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Research Products
(1 results)