2001 Fiscal Year Annual Research Report
術後甲状腺機能低下症に起因する鬱状態における脳血流変化に関する研究
Project/Area Number |
12670890
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
長町 茂樹 宮崎医科大学, 医学部, 講師 (40180517)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 康 宮崎医科大学, 医学部, 助教授 (20212897)
小玉 隆男 宮崎医科大学, 医学部, 助教授 (40153564)
陣之内 正史 宮崎医科大学, 医学部, 助教授 (60154423)
川井 恵一 金沢大学, 医学部, 教授 (30204663)
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Keywords | 術後甲状腺機能低下症 / 鬱状態 / 局所脳血流 / SPM |
Research Abstract |
(目的)甲状腺癌全摘後機能低下状態における局所脳血流を甲状腺ホルモン補充後と比較する事で本病的状態における精神活動異常の原因の究明と治療の可能性を検討する。 (方法)甲状腺癌全摘術後のI-131内照射治療前で、甲状腺ホルモン制限により甲状腺機能低下症を来した患者24名を対象にTc-99m-HMPAO脳血流SPECTを施行し、甲状腺ホルモン補充前後の脳血流変化をSPM96を用いて解析した。正常例11例による正常群としself-rating depression scale (SDS scale)より求めた抑鬱状態の重症度から軽度群、中等度群、高度群に分け、それぞれ正常群との比較を行った。さらに補充前後で群間比較を行った。各個人の全脳平均を50ml/100g/minとして局所脳血流を補正後比較し、 Height thresholdが0.01未満、Extent、thresholdが0.01未満を統計上有意として表示させた。 (結果)治療前の状態では抑鬱の程度に関係無く、頭頂葉後部、楔部に血流低下を認めた。また側頭葉特に上部側頭回及び帯状回前部に有意な高血流域を認めた。甲状腺ホルモン補充前後の比較では個々の症例では治療後に改善する症例が認められたが、群間比較では有意な血流の改善は認めなかった。 (考察)甲状腺機能低下状態では、精神異常はSubclinicalな状態であったが、SDS scale上は鬱状態を示した。頭頂葉や後頭葉の血流低下域が認められ、甲状腺機能低下症における認知機能低下や情動障害の反映と思われた。甲状腺ホルモンの補充療法に対して効果を有する症例と有さない症例が認められ、現在その原因を究明中である。ホルモン枯渇期間、I-131内照射治療回数等の因子を含めてさらなる検討予定である。
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