2000 Fiscal Year Annual Research Report
放射光を用いた位相敏感X線撮影法による人体等の描画に関する研究
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12670895
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
森 浩一 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助教授 (90274977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兵藤 一行 物質構造科学研究所, 放射光実験施設, 助手 (60201729)
佐藤 斉 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助手 (90285057)
鹿野 直人 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助手 (80295435)
安藤 正海 物質構造科学研究所, 放射光実験施設, 教授 (30013501)
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Keywords | シンクロトロン放射光 / X線撮影 / 位相コントラスト / 微小骨折 / フレネル回折 / 干渉性 / 被曝線量の軽減 / 空間コヒーレンス |
Research Abstract |
X線の空間コヒーレンスを利用した新しいX線画像法の開発と人体撮影への適用について研究を進めた。空間コヒーレンスの高いX線を得るために放射光X線を利用した。実験は高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所と高輝度光科学研究センターで行った。 1 人体乾燥指骨における微小骨折画像と画質のX線エネルギー依存性 従来の画像(X線吸収画像)では、描写できない微小骨折(亀裂幅3μm〜40μm)を高い画像コントラストでとらえることができた。用いたX線のエネルギーは20keV〜60keVであった。画像はX線フィルムに記録した。X線エネルギー30keV〜35keVにおける画質が最良であった。被写体とX線フィルム間の距離が1m程度のときは微小骨折の描写能が高く、2m〜5m程度では骨梁の描写能が高かった。 2 X線用CCDカメラによる微小骨折の撮影 ピクセルサイズ24μmのCCDカメラを用いて微小骨折像を記録した。この画像では、亀裂幅30μm〜の微小骨折しか描写できなかった。X線フィルムによる撮影とほぼ同じ線量で撮影したときの画質が最良であった。 3 乳房ファントムにおける微小石灰化巣と繊維組織の撮影 微小石灰化巣と軟組織の境界でX線屈折率の変化が大きいために石灰化巣の輪郭部が強調された。従来画像に比べ、石灰化の形態をより判別しやすい結果となった。繊維組織についても同様の傾向であった。 4 人体乾燥頭蓋骨の撮影 頭部側面像を撮影した。鮮明なトルコ鞍側面像を得た。前床突起や後床突起の骨梁像、ならびに側頭骨の骨梁像が得られた。X線の空間コヒーレンス長は、150μm程度と予測した。厚さ15cm〜20cm程度の被写体において位相コントラストを得ることができた。 これまでの種々の試料撮影から臨床実験に必要な基礎データの収集ができた。今後は病理標本などの撮影を追加して、患部の描写能を詳細に調べる予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Mori,N.Shikano,K.Hyodo,M.Ando et al.: "Development of a novel bone radiography by means of x-ray phase contrast"Spring-8 User Experiment Report. 5・2000A. 178 (2000)
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[Publications] 森浩一,佐藤斉,鹿野直人,兵藤一行,安藤正海 他: "放射光を用いたX線位相敏感画像法の開発と整形外科領域への適用"Photon Factory News. 18・2. 21-24 (2000)
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[Publications] 森浩一,鹿野直人,佐藤斉,兵藤一行,安藤正海 他: "放射光X線位相コントラストによる骨折線描写のための新しい撮影法"茨城県立病院医学雑誌. 18・1. 33-37 (2000)
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[Publications] K.Mori,N.Shikano,H.Soto,K.Hyodo,M.Ando et al.: "Development of a novel bone radiography by means of synchrotron x-ray phase contrast"Medical imaging technology. 18・4. 441-442 (2000)
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[Publications] 森浩一,鹿野直人,佐藤斉,兵藤一行,安藤正海 他: "X線位相コントラスト法による骨画像と放射光X線撮影システム"コニカXレイ写真研究. 51・3. 17-21 (2000)
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[Publications] K.Mori,N.Shikano,H.Soto,K.Hyodo,M.Ando et al.: "Development of a novel radiography for visualization of fracture line by means of synchrotron x-ray phase contrast"Book of abstracts of the 7 th international conference on synchrotron radiation instrumentation. Pos2-219 (2000)