2001 Fiscal Year Annual Research Report
肝癌発生過程における低酸素の役割の実験的研究と臨床研究
Project/Area Number |
12670901
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
白井 信太郎 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (00192120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諏訪 和宏 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (60187820)
佐藤 守男 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50154109)
岸 和史 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (70254547)
谷畑 博彦 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手
覚道 健一 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (00112037)
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Keywords | 肝がん / 発がん / 低酸素 / 肝炎 / 肝硬変 / 四塩化炭素 |
Research Abstract |
実験結果 1.ラットに4塩化炭素肝炎肝硬変発生モデルでの実験は終了した。測定範囲が3mmのクラーク酸素電極による測定では1週目から4週目まで肝臓内部が低酸素状態になることが示された。また6週目から8週目までは低酸素からの回復が生じ、4塩化炭素投与を終了する10週目では酸素濃度の上昇が見られた。12週目では酸素濃度は正常に復した。HIF1αは4週目から上昇が見られ、以後持続して発現が見られた。HIF1βの発現は対照群と4塩化炭素投与群で代わりがなかった。肝臓表面の所見では最初見られたグリソン鞘にあった門脈枝が2週目から減弱消失し、グリソン鞘の拡大が生じた。また小葉中心静脈の怒張が生じ、小葉中心静脈周囲の類洞に配列している肝細胞量が急激に減少した。8週目からはそれらは再生し始めグリソン鞘の縮小が生じた。変わりにさらに小葉中心静脈の拡張と連結が発生し、かつ肝細胞の増殖も開始し、硬変化が進行した。これらから、仮説イ-3硬変肝で(肝細胞死と再生の結果、還流障害が進み)低酸素状態が生じ、低酸素状態が組織学的な進行度に伴い進行する。証拠が得られたと考えることができる。病理結果はまだすべての検討が終了していないが小仮説イ-4,5:血管新生因子の低酸素誘導により、類洞の血管内皮化が推進されることも免疫染色ではほぼ合致する所見が得られた。仮説イ-1/2「肝硬変の進行に伴いまず動脈血流の低下が生じ、酸素濃度は門脈血依存性になる」はむしろ最初に静脈欝滞が生じ、小門脈血がいりこめなくなるからと解釈できる(これは従来の説に反する新しい知見に属する可能性がある)。残りのVEGF、COXなどについてはwestern blotおよび免疫染色が進んでいるが、全体の結果がまだ出ていない。 2.発癌試験は進行中でまだ結果が出ていない。 3.臨床試験は抗体や酸素電極が別になり年度内予算枠内では達成できていない。
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