2000 Fiscal Year Annual Research Report
単色放射光を用いた腫瘍微細血管構築に関する基礎的研究
Project/Area Number |
12670913
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
今井 茂樹 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (00168494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 博志 川崎医科大学, 医学部, 助手 (30278931)
業天 真之 川崎医科大学, 医学部, 助手 (10319957)
梶原 康正 川崎医科大学, 医学部, 教授 (60030912)
梅谷 啓二 財団法人高輝度光科学研究センター, 実験部門, 主幹研究員
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Keywords | 放射光 / 単色X線 / 微小血管造影 / 腫瘍 / 腫瘍血管 / 新生血管 |
Research Abstract |
【目的】従来、腫瘍の微細血管構築は軟X線を用いた血管造影や顕微鏡を用いて評価されてきた。近年、放射光を用いた微小血管造影が注目されている。放射光による微小血管造影は、動画撮像も可能であり本邦でも臨床に用いられている。しかし、冠動脈疾患を対象とした報告が多く、腫瘍血管に関する研究は少ない。そこで、従来の方法である固定標本を作製し、軟X線と放射光を用いて腫瘍血管を撮像し、両者の微小血管の描出能を比較すると共に、腫瘍の微細血管構築や発育に伴う腫瘍血管の変化を観察すること、生体動物を用いて動画撮像腫瘍の微小血行動態を評価することを目的とした。 【方法】家兎耳介にVX2腫瘍を移植し、発育に伴う腫瘍血管の変化を観察するために移植後1日目、3日目、7日目の各5羽を対象とした。ペントバルビタールによる静脈麻酔を行い、耳介動脈よりゼラチン化硫酸バリウムを注入し、屠殺後に耳介を切断した。対照として正常例にも同様の処置を行った。ホルマリン固定後に軟X線、放射光を用いて腫瘍血管を撮像した。生体動物も対象は同じで、非イオン性ヨード造影剤を注入しながら放射光による動画撮像を行った。 【結果】軟X線および放射光での描出可能な最小微小血管径は、それぞれ100μm、25μmであり、明らかに放射光での画像は空間分解能が優れていた。VX2腫瘍は、移植後1日目より血管増生がみられた。3日目では、明らかに屈曲蛇行した血管が腫瘍辺縁から中心部に向かうようにみられ、7日目では、腫瘍辺縁部には屈曲蛇行し、拡張した血管がみられ、中心部は屈曲蛇行が著しい30μm程度の微小血管が散在性に観察された。また、動画撮像により動静脈の鑑別、動静脈シャントの確認も可能であった。 【考察】放射光は腫瘍の微細血管構築の評価や、発育に伴う変化の評価に有用であった。放射光による微小血管造影は臨床における悪性腫瘍の診断に応用可能と考えられた。
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