2001 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解fMRI法による脳賦活の早期応答の検出と脳機能画像化に関する研究
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12670916
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Research Institution | National Institute of Neuroscience, NCNP |
Principal Investigator |
荻野 孝史 国立精神・神経センター, 診断研究部, 室長 (50185526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 俊 国立精神・神経センター, 神経研究所・診断研究部, 部長 (00134619)
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Keywords | NMR / fMRI / micro-imaging / brain function / CSF flow / Gd-DTPA / rat |
Research Abstract |
これまで脳脊髄液の産生速度の測定はウサギやイヌ等の中・大型動物を用いて、色素ラベルしたデキストラン等を使ったventriculocisternal perfusion法によるものが殆どで、ラット等の小動物での測定が困難であったために、脳脊髄液産生に関する研究が少なく、生体内環境の脳脊髄液産生に及ぼす影響に関する情報は極めて限られていた。また、これらの過程を三次元的に可視化、画像化し、定量化した例はない。 本研究では、ラット脳室潅流モデルを作成し、MRI法を用いた方法で脳脊髄液潅流過程を空間的に可視化、画像化することにより、髄液産生に対する1)動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)の変化の影響、2)脳室内での炭酸脱水酵素阻害の影響を検討した。 ラットの側脳室にカニューレを挿入して、8.5mMのGd-DTPAを5ul bolus injectionし、MRI法で測定した信号強度の変化より、single compartment, well-mixed modelを適用して、脳脊髄液の産生速度を求めた。(実験条件:TR100ms, TE4.2ms,1mm slice,195um x 195um in-plane resolution)。髄液でのGd-DTPAの消失速度定数は、PaCO2が40.5+/-2.1mmHgの時は0.158+/-0.011min^<-1>であったのに対して、24.7+/-2.9mmHgの時は0,094+/-0.019min^<-1>、95.0+/-7.8mmHgの時は0.182+/-0.008min^<-1>であった。Gd-DTPA消失速度定数は、PaCO2の上昇とともに上昇したが、PaCO2が60mmHgを超えるとほぼ飽和した。また、脳室内にあらかじめ炭酸脱水素酵素の阻害剤であるacetazolamideを投与するとGd-DTPA消失速度定数は、有意に低下した(0.081+/-0.011min^<-1>)。 今回の実験により、脳脊髄液の産生速度とPaCO2の関係を明らかにすることが出来た。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 瀬尾芳輝, 他4名: "ラットCSF産生へのpCO2の影響:Gd-DTPA造影T1強調MRI法による測定"Japanese Journal of Magnetic Resonance in Medicine. 21. 149 (2001)
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[Publications] 吉川宏起, 他7名: "1H-CSIにおける簡易型組織分画法の検討"Japanese Journal of Magnetic Resonance In Medicine. 21. 175 (2001)
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[Publications] 高橋征三, 荻野孝史: "脳内代謝物質の細胞内における動的ふるまい"Japanese Journal of Magnetic Resonance In Medicine. 21. 238 (2001)
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[Publications] Takamata A. et al.: "Effects of pCO2 on the CSF turnover rate in rats monitored by Gd-DTPA enhanced T1-weighted magnetic resonance imaging"Japanese Journal of Physiology. 51(5). 555-562 (2001)