2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12670930
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Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
細木 俊宏 新潟大学, 医歯学総合病院, 助手 (00313544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 賢一 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (70334670)
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Keywords | 老人自殺 / 自殺予防 / うつ病 / 自己記入式うつ病尺度(SDS) / 研究用診断基準(DCR) / 豪雪・過疎地域 |
Research Abstract |
平成15年度は1)引き続き"中郷村こころの健康づくり推進協議会"において中郷村の老人自殺予防活動について協議,実行し,住民への啓蒙活動として2集落にて「中高年のこころの健康」について講演をおこなった。2)7名の訪問後のフォローアップ,RDC診断,再評価を行った。5名は治療や状況の変化によりうつ病は寛解しており自殺の危険性は消退していたが2名は引き続き観察が必要と判断された。3)この1年で1名の老人が自殺したが、平成14年度のSDSは60点未満であり、訪問対象から外れた老人が急激に自殺念慮が強まり自殺死亡したことがわかった。4)平成12年度〜14年度の3年間に得られたSDS得点、RDC診断、自殺の有無などのデータ解析とその統計処理を行なった。その結果自殺者のSDS得点は全て60点以下であった。また自責感、焦燥感、希死念慮の有無の判断が重要であると考え、SDS60点以上であった対象からの診察者を絞り込むための質問項目として5つを選んだが、自殺既遂者によるアンケート結果を特徴づけるものとはいえなかった。しかし自殺既遂者によるアンケート結果から、自分が社会や家族のとって必要とされるか、仕事を気楽にできるか、充実した人生であるか、頭はすっきりしているか、息苦しいか、動悸がないか、などにへの回答が自殺既遂者と非既遂者で異なる傾向があった。 現時点まで介入前後における中郷村の自殺率の変化は認められない。啓蒙活動の継続や地元スタッフ参加協力による共同活動を通して、地域における自殺予防介入の重要性とその必要性についてある程度の理解が得られたが、今回用いた手法の限界、絞込みや訪問診察などの介入方法、評価方法に改善すべき点があると考えられた。今後早期発見、早期治療に結び付け自殺を予防していくためには、さらなる啓蒙活動だけでなく、自殺予防活動の評価とそのきめ細かな調整の継続が必要と考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 佐々木明子, 他: "多剤併用の解消によって速やかに抑うつの改善をみた双極II型障害の1例"臨床精神薬理. 6巻5. 655-659 (2003)
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[Publications] 村山賢一, 他: "高齢者におけるうつ病の早期発見と自殺予防"臨床精神薬理7(7):2004. (印刷中).
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[Publications] 染矢俊幸, 他: "新潟県に多い病気(第8章 自殺)新潟大学ブックレット"新潟口報事業社. 61-68 (2003)