2001 Fiscal Year Annual Research Report
精神分裂病患者の前頭前野を中心とする神経回路網のダイナミクスの解析(実行機能と縦断的経過の関連について)
Project/Area Number |
12670936
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
篠崎 和弘 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (40215984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鵜飼 聡 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80324763)
山下 仰 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (50294054)
西川 隆 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (60273629)
武田 雅俊 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00179649)
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Keywords | 精神分裂病 / 脳磁図MEG / 前頭前野 / 認知 / stroop課題 / 語産生課題 / ウエルニッケ領野 / 並列分散処理 |
Research Abstract |
精神分裂病の前頭前野背外側部DLPFCを中心とする実行機能と(1)頭頂葉、側頭葉、後頭葉などの認知系、(2)前頭葉内側眼窩野、前部帯状回などの抑制・選択的注意系、(3)運動出力系の3つの系の相互関連に注目し、その神経回路網のダイナミズムの解明を行った。患者は(1)急性発症・波状型経過・ほぼ完全寛解群、(2)潜行発症、単純経過、軽症群、および(3)年齢をマッチさせた健常者群の3群それぞれ10名ともちいた。解析には脳磁図-空間フィルタ(SAM)法を用いた。 1.語産生課題(しりとり)では、DLPFC(実行監視系),M1(運動出力系),Post-IFG(Broca領野、運動出力系),Post-STG(Wernicke領野、認知系)で安静時との間に有意差が見られた。分裂病患者は健常者に比較して安静時に対して有意差を示す領域の総数が少なく、この傾向は右半球で著しかった。左Post-STGは健常者の多数で有意差が見られたが患者では全く有意差を示さなかった。M1も分裂病脳では優位差を示すことが少なかった。パフォーマンスは両群に差がなかった。先行のPET研究などを参考に分裂病脳は両側性に過活動状態であると解釈した。 2.時間分解能を200msに上げて皮質の並列分散処理を視覚化するために誘発パラダイム(Stroop課題)をおこなった。健常群ではDLPFCが刺激後300msで全員で賦活された。1群は後頭部・頭頂部・DLPFCの順に、別の一群はDLPFC・M1の順に賦活が進行し、パラダイムの個人差に認知優位型と運動優位型があることを反映した。 分裂病群の脆弱性と関連する固有の臨床神経生理学的特徴、および上記のMEG所見の経時変化と症状評価PASS、転帰(Strauss, Carpenterの基準)、社会生活技能訓練との対応を引き続き検討中である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 鵜飼聡, 篠崎和弘, 石井良平, 小川朝生, 水野(松本)由子, 井上健, 平吹度夫, 吉峰俊樹, SE Robinson, 武田雅俊: "MEGによる言語の脳機能局在の可視化-空間フィルタ法による解析-"臨床脳波. 43. 430-435 (2001)
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[Publications] 甲斐島武, 水野(松本)由子, 伊達進, 篠崎和弘, 下条真司: "独立主成分分析を用いた脳磁図のための高速解析システムの構築"信学技報. 37. 13-20 (2001)
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[Publications] Mizuno-Matsumoto Y, Ishijima M, Shinosaki K, Nishikawa T, Ukai S, Ikejiri Y, Nakagawa Y, Ishii R, Tokunaga H, Tamura S, Date S, Inouy T, Shimojo S, Takeda M: "Transient global amnesia (TGA) in an MEG study"Brain Topogr.. 13. 269-274 (2001)
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[Publications] 篠崎和弘, 鵜飼聡, 石井良平, 武田雅俊: "脳波と脳磁図研究の現状の紹介と将来"統計数理研究所共同研究リポート(逆問題とその周辺6). 128. 133-138 (2000)
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[Publications] 篠崎和弘, 鵜飼聡, 石井良平, 武田雅俊: "近い将来に臨床応用が期待される脳イメージング「脳磁図(Magnetoencephalography : MEG)」"精神科治療学. 16. 1055-1061 (2000)
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[Publications] 鵜飼 聡, 篠崎 和弘, 石井 良平, 井上 健, 平吹度夫, S.E.Robinson, 吉峰俊樹, 武田雅俊: "精神分裂病患者における言語課題に伴う大脳皮質の活動領域のMEG解析"日本生体磁気学会誌. 13. 68-69 (2000)
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[Publications] Miyoshi K, Shapiro CM, Gaviria M, Morita Y. (eds.): "MEG functional neuroimaging of schizophrenic patients and comparison subjects during word generation"Springer-Verlag. 469(39-45) (2001)