2001 Fiscal Year Annual Research Report
老人性痴呆および老年期うつ病の認知機能と運転能力の評価
Project/Area Number |
12670957
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
三村 將 昭和大学, 医学部, 助教授 (00190728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大坪 天平 昭和大学, 医学部, 専任講師 (20245856)
小松 伸一 信州大学, 教育学部, 助教授 (50178357)
加藤 元一郎 東京歯科大学, 市川総合病院・精神神経科, 助教授 (80161123)
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Keywords | 自動車運転 / アルツハイマー病 / うつ病 / 注意 / 痴呆 / 神経心理学 / 作動記憶 / 認知機能 |
Research Abstract |
本研究では老人性痴呆および老年期うつ病の患者に関して、種々の神経心理検査バッテリーによる認知機能評価と、運転シュミレータを用いた運転能力評価を行い、両者の関連を検討した。2年計画の第2年度として、前年度に作成した一連の神経心理検査バッテリーと、簡易運転シュミレータ(タスクネット社製AC110)を用い、引き続き、軽症痴呆症患者および老年期うつ病患者の機能評価を実施した。運転が臨床上問題となる症例は実際には65歳未満のことも多いため、平成13年度は対象年齢を65歳以上から55歳以上に引き下げて対象を拡大し、最終エントリー患者数は軽症痴呆例11例、老年期うつ病の患者16例、他の脳損傷11例であった。軽症痴呆例に関しては、AC110の各項目を同年代健常者のデータベースと比較し、1(要注意)-5(きわめて優秀)の5段階で評価し、評価点が1ないし2を成績低下とした。(1).単純反応では11名中8名で反応スピードが低下していた。同様に、成績低下は(2).選択反応の正確さでは7名、スピードでは8名、(3).ハンドル操作の正確さでは8名、遅れでは6名、安定性では6名に成績低下が見られた。実際の運転安全性との関連からはスピードよりも正確さが重要と思われ、ことにハンドルとブレーキ・アクセルの複合的操作の正確さが低い症例は要注意と考えられた。また、神経心理検査に関しては知能や記憶は運転能力を直接的には反映していない一方、前頭葉機能検査は運転シミュレータの成績とある程度の相関を示した。運転能力を最も反映する可能性があると考えられたのはストループ課題であった。以上の結果の概要を平成13年9月、日本神経心理学会において報告した。また、老年期うつ病に関しても、同様の運転シミュレータと神経心理検査との関連が示唆された。うつ病に関する結果の概要は平成14年8月の世界精神医学会総会において報告する予定である。
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