2001 Fiscal Year Annual Research Report
精神作用物質の代謝過程における脳と肝の細胞障害発症の機序に関する研究
Project/Area Number |
12670959
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
岩橋 和彦 麻布大学, 環境保健学部, 教授 (00232695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 和彦 麻布大学, 環境保健学部, 講師 (80263911)
吉原 英児 麻布大学, 環境保健学部, 講師 (80147975)
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Keywords | P450 / CYP2A6 / CCK |
Research Abstract |
我々は、アルコールなどの精神刺激物質や抗不安薬など、精神に作用する、いわゆる"向精神薬(精神作用物質)の依存と副作用発現の機序"を研究の対象にし、この向精神薬が肝および脳内の薬物代謝酵素シトクロムP450に代謝される過程において、その代謝産物が細胞毒性を発揮する過程、機序を解析した。さらに向精神薬の代謝課程で生じる細胞毒性物質生成の阻害剤について検討することによって、向精神薬による副作用である精神神経障害や心機能障害、さらには薬物依存の発症機序解明および予防法発見の一助とすることを目的として本研究を計画した。 これまでに、ニコチン(タバコ)依存症の発症機序解明の一助として、中枢神経系において「不安」に関連する役割を持ち、ドーパミンと相互作用を演じる神経伝達物質のCholecystokinin(CCK)と、タバコの主要成分であるニコチンを代謝する肝臓の酵素CYP2A6について、ニコチン依存症との関連を分子生物学的手法で調査検討した。対象はニコチン依存者30人と、この依存症者と同世代の健康非喫煙者30人について、インフォームドコンセントを得た後に採血し、PCRにてCCKとCYP2A6の遺伝子多型を調べた.その結果、喫煙者には非喫煙者より有意に高頻度でCCK promoter領域中のintron C/Tなる遺伝子多型性変異が出現し、さらに、非喫煙者にはCYP2A6の活性に影響を与える可能性のある遺伝子多型変異(v2)が有意に高頻度に出現した。以上の結果から、ニコチン依存症発症の機序において、不安関連物質とニコチン代謝能の両面の要因が関与していると考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Iwahashi K. et al.: "Analysis of the metabolism of haloperidol and its neurotoxic pyridinium metabolite in patients with drug-induced par kinsonism"Neuropsychobiology. 44. 126-128 (2001)
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[Publications] 岩橋 和彦: "ニコチン(タバコ)依存とCCKおよびCYP2A6に関する分子生物学的研究"臨床精神医学. 31(in press). (2002)