2001 Fiscal Year Annual Research Report
PIG-A遺伝子変異の高感度検出法の確立と発作性夜間血色素尿症の病態解析への応用
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12670985
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
待井 隆志 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (50124780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金倉 譲 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20177489)
水木 満佐央 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80283761)
柴山 浩彦 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
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Keywords | PNH / PIG-A / GPIアンカー / 造血幹細胞 / 造血不全 / CD59 / HMGA2 |
Research Abstract |
1.初期のPIG-A遺伝子の解析から6-10年経過しているPNH症例について再度詳細な遺伝子解析を行った。既に解析し得た4例にさらに5例を加え検討し、その結果、異常好中球の割合は症例により様々な経過を示し、2例では増加、3例で減少し、残り4例では変わらなかった。全例で初期の優勢PNHクローンは数年を経過した後も優勢であり、これらの結果からPNH患者では1個の造血幹細胞クローンが6-10年間、造血の大部分を維持していることが示された。さらに、異常好中球の減少を認めた2例は初期に比較して血球減少が増悪しており、PNHクローンの衰退により造血不全が顕性化することが示唆された。 2.PNH患者骨髄単核球では造血コロニー形成能の低下が見られたが、CD34+CD38-CD59-(GPI-)とCD34+CD38-CD59+細胞の間には有意な差が見られず、GPIアンカーの発現はPNHにおける造血不全に直接には関係していないことが示唆された。放射線照射したPNH患者由来ストローマ細胞は正常人骨髄細胞の増殖を支持できたが、正常人ストローマはPNH患者骨髄細胞の増殖を支持できなかった。PNHにおける造血不全はストローマ細胞の異常あるいは、血液細胞との相互作用の障害によるものではないと考えられた。 3.我々は12番染色体の異常を有するPNH愚者で、その染色体異常がGPIアンカー欠損血球に一致して存在することを見いだしたが、最近、阪大微研木下研の井上らにより、その切断部位にHMGI-C(HMGA2)が同定された。この遺伝子の異常は間葉系の良性腫瘍に高頻度に見いだされている。我々はHMGIに対する抗体を作成し、PNH患者血球にその発現異常が見られるか(PNHクローンの増殖優位性に関係するか)について検討をすすめている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Nishimura J et al.: "Efficient retrovirus -mediated PIG-A gene transfer and stable restoration of GPI-anchored protein expression"Blood. 97・10. 3004-3010 (2001)
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[Publications] Nishimura J et al.: "Long-term support of hematopoiesis by a single stem cell clone in patients with PNH"Blood. 99・8(in press). (2002)
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[Publications] 待井隆志: "発作性夜間血色素尿症"綜合臨牀. (印刷中). (2002)
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[Publications] 待井隆志他: "阿部達生編、専門医を目指すケース・メソッド・アプローチ:血液疾患"日本医事新報社(印刷中). (2002)