2002 Fiscal Year Annual Research Report
糸球体疾患における糸球体上皮細胞の形質転換と各種転写因子発現についての研究
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12671019
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大高 徹也 東北大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (70271921)
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Keywords | 膜性増殖性糸球体腎炎 / IgA腎症 / 紫斑病性腎炎 / WT1 / マクロファージ / メサンギウム細胞 |
Research Abstract |
本年度は、各種増殖性糸球体腎炎における、糸球体上皮細胞の形質転換を免疫組織学的に検討した。この目的で、膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)13例、IgA腎症(IgAN)10例、紫斑病性腎炎(HSPN)4例及び対照として糸球体病変を認めない血尿単独例(CTRL)6例を対象に、糸球体における転写制御因子(WT1、Pax2)の発現を免疫組織学的に検討した。上皮細胞各種骨格蛋白(Vimentin(以下Vim))、メサンギウム細胞骨格蛋白(alpha smooth muscle actin(SMA)、caldesmon(CLD))、内皮細胞マーカーおよび各種浸潤白血球マーカー(CD45、CD3、CD15、CD11b、CD68)の局在もあわせ検討した。CTRL群では、足細胞(P上皮)及び一部のBowman嚢上皮細胞(B上皮)核にWT1発現が、B上皮核にPax2発現が観察された。IgAN、HSPNでは、CTRLと同様の転写因子発現の他、管外増殖病変でWT1、Pax2の発現が観察された。MPGN及び一部のHSPNでは、CTRL群と同様の各種転写因子発現に加え、管内領域にWT1の細胞核発現が多数観察された。各種細胞骨格蛋白および白血球マーカーとの2重染色および連続切片による検討により、WT1は浸潤マクロファージおよびメサンギウム細胞に発現していることが確認された。管内増殖病変を伴わない腎糸球体において、WT1、Pax2の発現は、通常P細胞、B細胞や管外増殖病変など上皮性細胞のみに限局しており、管内領域(メサンギウムおよび内皮細胞)での発現は認められなかった。MPGNなど管内領域の強い増殖を呈する増殖性糸球体腎炎においては、メサンギウム細胞や浸潤マクロファージにもWT1の発現が強く認められ、これら管内非上皮性細胞の形質転換を示唆するものと考えられた。 これらの結果は、第35回アメリカ腎臓学会で発表した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ohtaka A., Ootaka T., Sato H., Ito S.: "Phenotypic change of glomerular podocytes in primary focal segmental glomerulosclerosis"Nephrology Dialysis Transplantation. Vol.17(suppl.9). 11-15 (2002)
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[Publications] Ootaka T., Sato H., Sato T., Ito S: "Intracapillary expression of transcription factor WT1 in proliferative glomerulonephritis"Journal of American Society of Nephrology. Vol.13. 469A-469A (2002)