2000 Fiscal Year Annual Research Report
糸球体スリット膜を構成するカドヘリン様分子の構造と機能の解析
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12671031
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
矢尾板 永信 新潟大学, 医学部, 助教授 (00157950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 格 新潟大学, 医学部, 教授 (30092737)
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Keywords | 腎臓 / 糸球体 / 上皮細胞 / スリット膜 / 細胞間接着装置 / カドヘリン |
Research Abstract |
(1)FAT:FATは、cadherin superfamilyに属し、細胞膜を一回貫通する膜蛋白である。我々は、FATがスリット膜の構成分子の一つであることを明らかにしてきた。病的状態でのFATの挙動を調べるため、ラットにpuromycin aminonucleoside(PAN)を静注して、腎症を惹起した。腎症では、スリット膜が減少し、スリット膜のもう一つの構成成分であるnephrinも減少する。FATの発現をribonuclease protection assay(RPA)で検討すると、正常に比べPAN腎症では有意に上昇していた。蛋白レベルでの増加もWesternblotting及び組織切片での染色性の増加によって確認された。Immunogoldを用いた免疫電子顕微鏡で観察すると、FATはスリット膜を介さない細胞間接着装置により集中して存在していた。正常においてもimmunogoldはスリット膜よりは、スリット膜を介さない細胞間接着のところに、より多く存在していることが明かとなった。すなわち、podocyteの分化した形質であるスリット膜の成分というよりは、ZO-1のように、より基本的なpodocyteの細胞接着に関わっていることが示された。 (2)classical cadherin:スリット膜が、modified adherens junctions(classical cadherin-catenin複合体)であるという説が最近出されている(Reiser et al.,2000)。我々のデータでは、R-cadherinが、糸球体形成時期に発現するが、分化とともに消失してしまう。また、FATの細胞内ドメインは、catenin結合部位のアミノ酸配列と類似した部分を含んでいる。このため、成熟後の糸球体(病的状熊、培養を含め)が、adherens junctionの構成成分、すなわちclassical cadherin、cateninsを含むのかを各種抗体を用いて、蛍光抗体法、免疫電顕にて検討した。その結果、各成分は、尿細管、ボウマン嚢上皮、メサンギウム細胞に有意に認められたが、podocyteにはいかなる条件下でも観察されなかった。このことから、podocyteは一端分化成熟した後は、classical cadherin、cateninsを発現しない可能性が高いことが考えられた。 (3)protocadherin 68:RPAで糸球体に特異的に発現していることが確かめられ、3'方向にsequenceをすすめている。full lengthのsequenceを決定すると同時にアミノ酸配列を予測し、抗体を作成、その局在を明らかにしてゆきたい。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 井上勉: "FAT is a component of slit diaphragms."Kidney International. 59(3)(発表予定). (2001)
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[Publications] 矢尾板永信: "Phenotypic modulation of parietal epithelial cells of Bowman's capsule incultu"Cell & Tissue Research. (発表予定). (2001)
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[Publications] 矢尾板永信: "Polygonal epithelial cells in glomerular cell culture : podocyte or parietal epithelial origin?"Microscopy Research and Technique. (発表予定). (2001)