2001 Fiscal Year Annual Research Report
腎細胞の形質変換に関わる転写因子の同定と形質変換制御による腎炎治療の可能性
Project/Area Number |
12671037
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
守山 敏樹 大阪大学, 健康体育部, 講師 (30283815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安東 明夫 大阪大学, 健康体育部, 教授 (00028656)
三輪 岳志 大阪大学, 遺伝情報実験施設, 助教授 (20174229)
今井 圓裕 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (00223305)
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Keywords | 平滑筋αアクチン / CArG / myofibroblast / Rho / ROCK / Y27632 / SRF |
Research Abstract |
SMαAは進行性腎障害進展に役割を果たすmyofibroblastの代表的分子マーカーである。ヒトSMαA遺伝子には5'上流に2か所、第一イントロンに1か所、CArG motifが存在する。CArG配列はserum response factor (SRF)の結合部位であり、growth factor-inducible geneおよび筋構成蛋白質の転写調節に関与する。第一イントロンのCArG(CArG#0)が平滑筋細胞、myofibroblastにおけるSMαA発現に必須である。CArG#0を用いたelectro mobility shift assay (EMSA)では培養メサンギウム細胞核蛋白の検討でSRF由来のバンドと少なくとももう一本のバンドが検出された。これをふまえyeast one-hybrid systemによるcDNAクローニングを実施した。現在、得られたC/EBPδについて解析している。C/EBPδはin vitroでSMαA promoterを活性化し、また実験腎炎糸球体、ヒトIgA腎症で発現増強を示した。さらにそのノックアウトマウスに腎障害を惹起するとSMαA発現が低下した。 またRho-ROCKを介した情報伝達系がCArG-SRFによる平滑筋関連遺伝子(SMαA、SM22)転写調節に与るとの報告に着目し、特異的ROCK阻害薬Y27632による腎障害モデル治療実験を行った。一側尿管結紮腎ではY27632投与によって間質線維化病変が無治療群の47%に抑制されSMαA陽性myofibroblastも同程度に抑制された。また間質へのマクロファージの浸潤も約50%抑制されていた。ノーザン解析ではSMαA、α1(I) collagen、TGF-βの遺伝子発現はY27632投与によって有意に抑制された。またY27632はin vitroでマクロファージ遊走を抑制した。以上からY27632は1)間質線維芽細胞・myofibroblastの形質抑制、2)マクロファージの遊走抑制、の2つの作用機序から線維化病変抑制効果を発揮するものと考えられた。
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