2000 Fiscal Year Annual Research Report
アンジオテンシンII2型受容体の細胞外基質調節作用の検討と腎疾患治療への応用
Project/Area Number |
12671047
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
篠村 裕之 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00235293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 松彦 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (60129608)
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Keywords | アンジオテンシン / 受容体 / 細胞外基質 |
Research Abstract |
アンジオテンシンII2型(AT2)受容体は成人腎臓の中-小動脈系などの血管に分布しているが、その生理機能に関しては未だ不明な点が多い。それで培養血管平滑筋細胞(VSMC)におけるAT2受容体作用の解析を可能とするためにAT2受容体レトロウイルス(pLXSN-AT2)をpolybrene存在下でVSMCにgene transferし、VSMC-AT2細胞を作成した。野生型のVSMCではAT2受容体を検出できなかったのに対し、VSMC-AT2ではAT1、AT2受容体の双方が発現していた(AT1 664±64,AT2 280±48fmol/mg protein)。CGP42112A単独投与ではERK1/2は変動せず、PTPはコントロールの67±11%に低下した(p<0.05)。一方、AII投与後のERK1/2活性の増加はAT2受容体拮抗薬PD123319前投与により44%亢進した。次にCGP42112A刺激後のコラーゲン合成の変動をコラゲナーゼ感受性プロリンの取り込みにより検討した。 CGP42112A刺激後は細胞付着型コラーゲン、分泌型コラーゲン合成共に容量および時間依存性に増加した(10-7M,48時間でコントロールの148±17%,p<0.05)。この作用はAT2受容体拮抗薬PD123319前投与で完全に抑制されたが、AT1受容体拮抗薬、PTP抑制剤(sodium orthovanadate),serine/threonine phosphatase抑制剤(okadaic acid)には影響を受けなかった。以上の結果より、AT2受容体はAT1受容体とは異なった、独自の細胞内情報伝達経路を介してVSMCのコラーゲン合成を促進することが示された。
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Research Products
(1 results)