2001 Fiscal Year Annual Research Report
どのような食品の蛋白貭が糸球体濾過量を強く増加させるか
Project/Area Number |
12671057
|
Research Institution | College of Nutrition, Koshien University |
Principal Investigator |
折田 義正 甲子園大学, 栄養学部, 教授 (70028398)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 円裕 大阪大学, 医学部系研究科・情報伝達医学, 講師 (00223305)
原納 優 甲子園大学, 栄養学部, 教授 (10028615)
|
Keywords | 糸球体濾過量 / イヌリンクリアランス / クレアチニンクリアランス / 蛋白負荷 / 過剰濾過 |
Research Abstract |
牛肉ステーキ200gを健常成人に急性負荷すると糸球体濾過量(GFR)を約120%上昇させ過剰濾過を招き、腎への負荷、糸球体の荒廃を起こすと考えられている。ベジタリアンのGFRは低く、大豆摂取時のGFRが牛肉摂取時に比べて低いとの報告もある。植物性蛋白が動物性蛋白に比べて糸球体過剰濾過が軽度であると示唆される。しかしこれらの報告は調理前食材アミノ酸組成値により検討を行ない、調理による成分変化を考慮せず、GFRはCcrでイヌリンクリクランス(Cin)でない。そこで、絶食群、動物性蛋白群(焼牛肉)、植物性蛋白群(焼粉末状脱脂大豆)で、Cin変化を健常者対象に調理された食材のアミノ酸値、Ccr、P glucagon(Pg)、尿中Uc-GMP(Ug)と関連付け研究した。健常成人男性6名で、事前に実験に対する同意を取得した。被験者は3期間に分け、それぞれに3種のテストを行なった。同一蛋白量(86.0g)で焼牛肉群と焼粉末脱脂大豆群、各時期に採血、採尿、蓄尿を行い、クリアランス値を算出し、体表面積補正を行なった。Cinは焼牛肉群が食後2時間にピークをなる山形の直線を描いた。粉末状脱脂大豆群では食後1時間でピークとなった。絶食群との比較では2時間値に対し、焼牛肉群、粉末状脱脂大豆群とも有意に上昇した。焼牛肉群と焼粉末状脱脂大豆群の間に有意差は認められなかった。Ccr値は食後2時間値、3時間値が絶食群に対して焼牛肉群と焼粉末状脱脂大豆群と共に有意に、食後2、3時間での焼牛肉群と焼粉末状脱脂大豆群の上昇に有意差は認められない。Pgは食後1〜3時間後で絶食群に対し他の2群で有意の上昇が、また、Ugは3群間で有意差を認めない。 これらの原因は焼牛肉と焼粉末状脱脂大豆に糸球体輸入細動脈を拡張させるアラニン、グリシン、アルギニン総量に差がない事がないためと考えられ、従来の植物性蛋白質が動物性蛋白質に比し、GFRに対する影響が少ないという推測を否定するものである。
|