2002 Fiscal Year Annual Research Report
胎児肺の形成・発育に関わる因子と低形成肺の病態に関する研究
Project/Area Number |
12671069
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
池田 一成 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (00193194)
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Keywords | KL-6 / サーファクタント蛋白 / 胎児肺 / 生育限界 |
Research Abstract |
【背景】今年度は、ムチンの1種で糖タンパクであるKL-6の胎児肺における発現を検討した。血清中KL-6は、成人において間質性肺炎のマーカーであることが知られている。新生児医療の領域においても、児の血清中KL-6は新生児慢性肺疾患(CLD)の病勢の指標となりうるという報告がある。さらに、羊水中KL-6濃度は肺成熟の指標になる可能性が指摘されている。しかしながら、妊娠中期の生育限界前におけるKL-6の発現やその分布に関しては知られておらず、KL-6が胎児肺成熟のマーカーになりうるという科学的根拠は現在のところ明らかではない。 【対象・方法】昨年度まで蓄積された症例ならびに今年度家族の同意を得て解剖が行われた妊娠8-33週までの計26例の胎児肺組織を用い、免疫染色によりKL-6の発現を検討した。 【結果・考察】 (1)KL-6は、肺上皮細胞に選択的に発現していたが、肺上皮細胞の成熟マーカーとされる各サーファクタント蛋白よりかなり以前から産生されていた。 (2)妊娠8週という肺の早期発生段階から発現していた。 (3)肺胞レベルのみならず細気管支レベルにも広く発現していた。 (4)肺上皮細胞の染色性と妊娠週数との間に相関が明らかでなかった。 (5)胎児腎尿細管上皮細胞にも発現していた。 【結果・考察】 KL-6を妊娠中期以降の肺胞上皮細胞の成熟マーカーとして使用するには注意を要すると考えられた。また、超早期産児の血清KL-6上昇例においては、KL-6の上昇が必ずしも肺胞II型細胞の再生過程を反映しているとは限らないと考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Mori K, Kurihara N, Hayashida S, Tanaka M, Ikeda K.: "The intrauterine expression of surfactant protein D in the terminal airways of human fefuses compared with surfactant protein A"Eur J of Pediatr. 161・8. 431-434 (2002)
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[Publications] Mori K, Kurihara N, Obi S, Hayashida S, Tokieda K, Ikeda K: "Intratracheal instillation of perfluorocarbon rescued mice with primary pulmonary hypoplasia"Exp Lung Res.. 28・6. 523-533 (2002)
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[Publications] Mori K, Ikeda K, Tanaka M.: "Different expression of surfactant protein B mature peptide and proprotein at 21 weeks, gestation in human fetal pulmonary epithelial cells"Pediatr. Int. 44(5). 500-504 (2002)