発生工学的手法を用いた甲状腺および甲状腺外サイロトロピンレセプターの機能解析

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12671076
• Research Institution: 山梨医科大学
• Principal Investigator: 遠藤 登代志 山梨医科大学, 医学部, 講師 (00152017)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 志村 浩己 山梨医科大学, 医学部, 助手 (40303416)
• Keywords: バセドウ病 / サイロトロピンレセプター / クラスII主要組織適合抗原 / class II transactivator / transgenic rat

Research Abstract

我々はバセドウ病における眼球突出症の発症には甲状腺外のサイロトロピンレセプター(TSHR)およびTSHR抗体が関与するとの仮説を提唱し、この実証を目的としてTSHR欠損マウスの作成に着手したが、Daviesらのグループらがその樹立を報告した。一方、下条らによりクラスII主要組織適合抗原存在下でのTSHRの免疫により甲状腺刺激抗体が産生されるとの報告がなされた。そこで、甲状腺刺激抗体の産生機序およびこれらの眼球突出症発症における役割を検討すべく、甲状腺にクラスII主要組織適合抗原を強制発現するラットの作成を試みた。これらの目的にてマウス脾臓よりclass II transactivator(CIITA)cDNAをクローニングし、FRTL5甲状腺にトランスフェクションしたところ、同細胞でクラスII抗原の発現が特異的に誘導されることを確認した。次にCIITAcDNAをサイログロブリン(Tg)プロモーター下流に結合し、これをWisterラット胚細胞に注入し、Tg promoter/CIITA transgenic ratを作成した。12週齢において、CIITA(-)ratとCIITA(+)rat群の体重、甲状腺重量、血中T3値、TSH-binding inhibitor immunoglobulin(TBII), thyroid stimulating antibody(TSAb)を比較した結果、両群間でいずれの指標においても、有為な差を認めなかった。この結果は、甲状腺でクラスII主要組織適合抗原とTSHRが共発現するのみでは、TSHR自己抗体は産生されず、これら以外に抗原提示に必要な要素が関与していることが示唆された。現在、co-stimulatory moleculeであるB7.1を同様にサイログロブリン(Tg)プロモーター下流に結合し、Tg promoter/B7.l transgenic ratの作成を試みており、両者の交配による検討を行なう予定である。

Research Products

• [Publications] Kang HC, Ohmori M, Harii N, Endo T, Onaya, T: "Pax-8 is essential for regulation of the thyroglobulin gene by transforming growth factor-β1"Endocrinology. 142. 267-275 (2001)
• [Publications] Shimura H, Suzuki H, Furuya F, Ohta K, Haraguchi K, Endo T, Onaya T.: "Transcriptional activation of the thyroglobulin promotor directing suicide gene expression by thyroid transcription factor-1 in thyroid cancer cells"Cancer Res. 61. 3640-3646 (2001)
• [Publications] Kogai T, Hershman JM, Motomura K, Endo T, Onaya T, Brent GA.: "Differential regulation of the human sodium/iodide symporter gene promoter in papillary thyroid carcinoma cell lones and nprmal thyroid cells"Endocrinology. 142. 3369-3379 (2001)