2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト成長ホルモン分泌促進物質(GHS)受容体遺伝子転写調節の分子機構
Project/Area Number |
12671086
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Research Institution | College of Nursing Art and Science, Hyogo |
Principal Investigator |
加治 秀介 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助教授 (90224401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千原 和夫 神戸大学, 医学部, 教授 (00107955)
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Keywords | GH分泌物質 / グレリン / 受容体 / 遺伝子 / 転写調節 / 転写因子 / GH3細胞 |
Research Abstract |
成長ホルモン分泌促進物質(GHS)は、当初人工ペプチドとして合成され、その後種々のアナログや非ペプチドも開発されたが、最近GHS受容体(GHS-R)、さらにそのリガンドghrelinも同定された。本研究の目的はヒトGHS-R発現調節の分子機構の解明である。特にGHSの反応性を修飾する因子による調節機構については、TPA/BayK8644とグルココルチコイド(GC)による負の転写調節を、初めてクローン化したヒトGHS-R遺伝子上流によるルシフェラーゼアッセイを用いて報告したが、その機序は不明である。ヒトGHS-Rの翻訳開始点より上流-669〜-608がGH3細胞での細胞特異的な発現の調節領域であると同時にTPA/BayK8644による負の転写調節領域でもあることが明らかとなった。 この配列の前半の-669〜-640と後半-639〜-610bpの各々2本鎖DNAを作成し、GH3細胞より抽出した核蛋白との結合をelectrophoretic mobility shift assay(EMSA)で検討した。この結果-669〜-640とは明らかな特異結合を認めたが、Ptx-1結合配列を含む-639〜-610bpとは結合は明らかではなかった。-669〜-640にはAP2結合配列を認めたのでAP2特異抗体を用いて検討したが、蛋白・DNA複合体への競合やスーパーシフトを認めなかった。以上より、hGHS-Rの組織特異的発現や、TPA/BayK8644による負の発現調節には主に-669〜-640の領域にAP2以外の転写因子の結合が関与する可能性が考えられた。 またGCはGHS-R遺伝子上流-531〜-475において負に調節する。この領域には負のGC応答領域(nGRE)を認めたので、nGREを含む-520〜-491bpの2本鎖DNAを作成し、EMSAを行った。この結果明らかな特異結合を認めたが、GC受容体(GR)による競合やスーパーシフトは認めず、nGREに変異を加えたDNAでも同様に特異結合が競合阻害されたことより、GRの直接結合による調節は否定的であった。さらに転写共役因子CBPの過剰発現でもGCによる負の調節は解除されず、GCがGRとは異なる転写因子を介して、CBP非依存性にヒトGHS-R遺伝子転写を抑制する可能性が考えられた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Masahiro Murata,Hidesuke Kaji,Kazuo Chihara et al.: "Stimulation by eicosapentaenoic acids of leptin mRNA expression and its secretion in mouse 3T3-L1 adipocytes in vitro."Biochemical and Biophysical Research Communications. 270. 343-348 (2000)
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[Publications] Masahiko Kishimoto,Yasuhiko Okimura,Hidesuke Kaji et al.: "Multifocal fibrosclerosis as a possible cause of panhypopituitarism with central diabetes insipidus"Endocrine Journal. 47(3). 335-342 (2000)
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[Publications] Masahiko Kishimoto,Yasuhiko Okimura,Hidesuke Kaji et al.: "Cloning and characterization of the 5'-flanking region of the human prolactin -releasing peptide receptor gene"Biochemical and Biophysical Research Communications. 276. 411-416 (2000)
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[Publications] 加治秀介,千原和夫: "成長ホルモン製剤による成人の成長ホルモン分泌不全の治療"ホルモンと臨床. 48・6. 483-489 (2000)
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[Publications] 岸本正彦,加治秀介,千原和夫 他: "Preclinical Cushing's syndromeはOvert Cushing's syndromeへ移行し得るか?"日本内分泌学会雑誌. 76・特集. 109-111 (2000)
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[Publications] 飯田啓二,高橋裕,加治秀介,千原和夫 他: "GH受容体細胞内領域におけるミスセンス変異C422Fの機能解析"日本内分泌学会雑誌. 76・特集. 9-13 (2000)