2000 Fiscal Year Annual Research Report
肥満導入IRS-1ノックフウトマウスにおけるインスリン抵抗性発症機序の解析
Project/Area Number |
12671117
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
荒木 栄一 熊本大学, 医学部, 教授 (10253733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹原 誉之 熊本大学, 医学部, 助手 (20304991)
豊永 哲至 熊本大学, 医学部, 助手 (60295128)
宮村 信博 熊本大学, 医学部・附属病院, 助手 (40274716)
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Keywords | インスリン抵抗性 / 肥満 / IRS-1 / 糖尿病 |
Research Abstract |
インスリン受容体の主要基質であるIRS-1(insulin receptor substrate-1)のヘテロ欠失マウスは野生型マウスと同様の耐糖能を保持している非常に軽微な遺伝因子モデルマウスである.このマウスに満腹中枢破壊物質であるGTG(gold thioglucose)を投与して過食、肥満を導入することにより、軽度の遺伝因子に環境因子を併せ持つモデル動物を作成した.GTG投与により野生型、IRS-1ヘテロ欠損両マウスともに非投与群に比べ約30%の体重増加を示した.肥満群間を比較すると、空腹時血糖値には差を認めないが、肥満IRS-1ヘテロマウスは空腹時インスリン2.6±0.4ng/mlと、肥満野生型1.8±0.3ng/mlに比べて明らかな高インスリン血症を呈した.腹腔内糖負荷試験、インスリン負荷試験では肥満IRS-1ヘテロマウスは肥満野生型に比し明らかなインスリン作用の現弱と耐糖能の増悪を示していた.また非肥満群では野生型とIRS-1ヘテロマウス両群間で空腹時血糖、空腹時インスリン値、及び両負荷試験において有意な差を認めなかった.この結果は、ごく軽度の遺伝因子存在下で、肥満によるインスリン抵抗性の増悪がさらに助長されることを明確に示している.さらに肥満IRS-1ヘテロの膵島は、野生型肥満群あるいは非肥満IRS-1ヘテロに比べて有意に腫大しており、この遺伝因子は肥満の存在下で膵島の過形成にも影響を及すと考えられた.細胞でのインスリンシグナルに特に重要なインスリン受容体、IRS-1、IRS-2などの分子の量的異常、あるいはリン酸化などの機能障害が肥満によりもたらされることが予想され、分子学的に解析を行っている.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] E.Araki, et al.: "Animal models of IRS-1/IRS-2 knockouts."Frontiers in Animal Diabetes Research (Vol 3)(Harwood Academic Press). (2000)
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[Publications] A.Shirakami, et al.: "Obese IRS-1 hetero knockout (IRS-1 (+/-)) mice are insulin resistant compared to obese wild type (IRS-1 (+/+)) mice."Diabetes Mellitus ; Recent Advances for the 21st Century (Elsevier Science). 411-414 (2000)