2000 Fiscal Year Annual Research Report
CETP遺伝子多型と血漿HDL濃度およびHDLリモデリングの個人差に関する研究
Project/Area Number |
12671129
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
村上 透 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (90278028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 敬の介 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (70131183)
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Keywords | CETP / TaqIB遺伝子多型 / HDL-C / コレステロール逆転送系 / 動脈硬化惹起性 / HDLリモデリング / 高脂血症 |
Research Abstract |
1正常人での血漿HDL-C値に影響を与える遺伝的要因についての検討 700例の正常ボランテイアの血液を採取し、血漿HDL-C濃度を測定した。そして、CETP TaqIB遺伝子多型:B1B1、B1B2、B2B2およびHL-514遺伝子多型:C/T、C/C、T/Tについて調べた。その検討を行う際、環境的因子や脂質代謝異常の影響を除外するために、年齢、性差、肥満度、喫煙、アルコール、糖尿病、TC、LDL-C、TGなどの因子をマッチさせた。その結果、CETP遺伝子多型B1B1およびHL-514C/Cが血漿HDL-C低下に関与する遺伝子多型であること、一方CETP B2B2およびHL-514T/Tが血漿HDL-C増加に関与する遺伝子多型であることが示された。 2CETP B1B1遺伝子多型とコレステロール逆転送系の関係について50例の学生ボランティアから血液を採取し、その中でCETP B1B1遺伝子多型B1B1を示した15例について、preβ 1HDL-C、CETP濃度、CETP活性、各リポ蛋白におけるコアー脂質組成、LCAT、CE転送率(CETR)、HDL粒子サイズなどを調べ、HDL conversion systemまたはHDL remodelingについて詳細な検討を行った。その結果、B1B1は血漿内におけるCETRを規定する遺伝的要因として重要であることが示された。さらに、その結果この遺伝子多型を有する例では、HDL2b粒子成分が増大していること、それと反対の形でHDL2aが減少すること、全体としてHDL-C濃度が低下することが示された。但し、B1B1を有する例は必ずしもCETP濃度が低下しているとは限らないことより、CETP活性と蛋白量との間には一定の関係が成立しないことが示され、他の要因についてさらに検討する必要性が生じた。 3糖尿病患者におけるCETP B2B2遺伝子多型とHDL-C増加 環境的因子や血清脂質をマッチさせ、さらに薬物の影響を除外した状態で検討すると、糖尿病のCETP B2B2遺伝子多型が血漿HDL-C濃度増加に関与する重要な遺伝子多型であることが判明した。但し、糖尿病では元来血漿内コレステリールエステル転送が障害されており、この結果が直ちに動脈硬化惹起性に対して抑制的に作用するかどうかは不明であると考えら、コレステロール逆転送系全体の立場からさらに検討する必要が生じた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Miida T.,Ozaki K.,Murakami T.,Kashiwa T.,Yamadera.,Tsuda T.,Inano K.,Okada N.: "pre β-high-density lipoprotein (preβ1-HDL) concentration can change woth low-density lipoprotein-cholesterol (LDL-C) concentration independent of cholesteryl ester transfer protein (CETP)."Clinica Chimica Acta. 292. 69-80 (2000)
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[Publications] Yamazaki Y.,Osaka T.,Murakami T.,Inoue S.: "JTT-501, a New Oral Hypotriglycemic Agent, Hypertriglyceridemia in Zucker Fatty and Ventromedial Hypothalamus-Lesioned Obese Rats."Metabolism. 49(5). 574-578 (2000)
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[Publications] Miida T.,Sakai K.,Nakamura Y.,Yamaguchi T.,Tsuda T.,Kashiwa T.,Murakami.,Inano K.,Okada N.: "Bezafibrate increases pre β1-HDL at the expense of HDL2 in Hypertriglyceridemia."Arterioscler Thromb Vasc Biol. 20. 2428-2433 (2000)
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[Publications] 西岡富美,村上透: "なぜ高脂血症の治療をすべきなのか"薬局. 51(8). 4-11 (2000)
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[Publications] 村上透,山田信博: "糖尿病性血清脂質異常症"Diabetes Frontier. 472-475 (2000)
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[Publications] 村上透,山田信博: "動脈硬化と高脂血症リポ蛋白代謝"診断と治療. 88(11). 1982-1988 (2000)
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[Publications] 村上透: "ここが知りたいコレステロール"主婦と生活社. 175 (2000)
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[Publications] 村上透: "メデイクイックプック患者さんによくわかる薬の説明 第三版"金原出版. 10 (2000)