2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12671132
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 正伸 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (80241321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
王 景信 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 日本学術振興会外国人特別研究員
加藤 紘之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80002369)
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Keywords | HIF-1alpha / VHL / 膵癌 / 血管新生 / アポトーシス |
Research Abstract |
膵癌細胞株20株を用いてHIF-1alpha蛋白発現を検討したところ、15株の膵癌細胞株において正常酸素分圧下でのHIF-1alpha蛋白発現を認めた。通常HIF-1alpha蛋白は正常酸素分圧下ではユビキチン化されて分解されると報告されており、我々の検討でも大腸癌細胞株、肺癌細胞株などでは正常酸素分圧下での発現を認めなかった。したがって、膵癌においては高頻度にHIF-1alpha蛋白分解系の異常があると予想された。最近HIF-1alpha蛋白の分解にvon Hippel Lindau(vHL)が関与することが報告されたので、15株の恒常的HIF-1alpha蛋白発現株のvHL遺伝子について変異の有無を検討した。その結果、15株中2株においてvHL遺伝子の変異を認めた。現在、wild-type vHL遺伝子を導入する実験を行っており、恒常的HIF-1alpha蛋白発現の原因がvHL遺伝子異常に基づくのか否か決定できると考えている。一方恒常的HIF-1alpha蛋白発現株の性格を検討したところ、発現していない細胞株に比較して低酸素や低栄養によるアポトーシス誘導に抵抗性であることが明らかとなった。さらにアポトーシス抵抗性を付与するものとしてHIF-1の下流にて転写亢進する糖輸送蛋白や解糖系酵素の活性化によることが明らかとなった。膵癌においては血管新生が乏しいために、低酸素や低栄養に適応するために嫌気性解糖によるエネルギー産生が重要な役割を果たしているものと推察された。今後はvHL遺伝子導入やdominant negative HIF-1alphaの遺伝子導入によって下流の遺伝子の転写亢進を抑制できることを確認したい。またアデノウイルスベクターを用いた動物モデルにて遺伝子治療の基礎的検討を行う予定である。
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