2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12671163
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
内山 明彦 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (20294936)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 雅夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (30163570)
片野 光男 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (10145203)
森崎 隆 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (90291517)
松田 武久 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (60142189)
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Keywords | 腹膜 / 人工腹膜 / 癌性腹膜炎 / INF-γ / 遺伝子導入 / 腹膜移植 |
Research Abstract |
胸・腹膜組織は、胸腔内や腹腔内及びその中の諸臓器と全身循環系との間のバリアーとして働く生理的に非常に重要な組織であり、その機能ないし構造破綻は腹膜炎や胸・腹水などの種々の疾患の病態にも深く関与している。本研究は人工的にヒト腹膜に類似した組織を再構築し、研究と治療への応用を図ることを目的とした。我々は人工腹膜の作成に成功し、その微細構造解析をおこない、さらに動物(WKA系雄性ラット)を用いて人工腹膜を作成し、その同系ラット腹膜欠損に対する移植に成功した。我々の作成した人工腹膜は、腹膜の構造としての最表層に位置する腹膜中皮細胞の単層形成を免疫学的にも確認し、さらに走査電顕にてもこれが微絨毛を有する単層腹膜中皮細胞であることを確認した。この人工腹膜は物理学手にも適度な強度と弾性を有していた。この人工腹膜は、癌細胞の接着・浸潤実験など、癌性腹膜炎の病態・治療モデルとしても有用であることが示唆された。さらに、ヒト人工腹膜へのIFN-γの遺伝子導入を試みたが、現在のところ、長期に安定したIFN-γの産生を得られるまでには至っておらず、さらなる方法の改善を試みている段階である。ラットの皮膚繊維芽細胞と大網中皮細胞、タイプIコラーゲンを用いて人工腹膜を作成し、腹膜欠損作成ラットへの縫着・移植を試みた結果、移植部での癒着も軽度で、周囲組織との適合も良好であることが組織学的にも証明された。さらにこの移植組織には、慢性炎症細胞の浸潤も軽微で、内部に新生血管の誘導がみられたことより、人工腹膜移植の安全性、有用性が示唆された。本研究による人工腹膜の開発により、腹膜関連疾患の病態理解への有用性と腹膜欠損等の治療的応用性が示唆された。
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