Research Abstract |
1.catecholamin大量投与による肝障害に対するadenosine,prostaglandin(PG)E1の効果 ビーグル犬の肝動脈からadenosineを投与したところ,0.25と1μmol/kg/min.の濃度では肝動脈血流量(HAF)と肺静脈酸素飽和度(HVOS)は全身血圧(MAP),脈拍(HR),門脈血流(PVF)に影響を与えることなく有意に増加した.一方10μmol/kg/min.の濃度ではMAPは低下しHAFを上昇させなかった.Adenosineをdopamineと共に投与したところ,adenosineはdompamineの血管収縮作用を抑制した.肝静脈血中ケトン体比(HVKBR)はdopamineの持続投与後2時間で低下したが,adenosineの同時投与にて正常レベルに改善された.これらの結果より,adenosineの肝動脈注入はdopamine投与にて障害を受けたドナー肝のエネルギー代謝とグラフトのviabilityを改善させ有用であると考えられた. 2.adenosine,PGE1による肝阻血再灌流障害抑制機序の解明,phosphodiesterase(PDE)3inhibitorによるadenosine,PGE1の肝保護効果の増強 wister ratsを用いてPGE1,PDE3 inhibitor,adenosineおよびamrinoneを投与した際の,肝阻血再灌流障害に対する効果を検討した.投与方法は,ileocecal veinより,阻血前10分間,再灌流後45分間持続投与とした.まず,PGE1は容量依存性に肝細胞障害を抑制した(0,10,100μg/kg/h).一方,PDE3inhibitor(0,3,30,300μg/kg/h)は30μg/kg/hが至適濃度となり,3,300μg/kg/hの時はcontrolとほとんど変化がなかった.そこで,PGE1 10μg/kg/hとPDE3 inhibitor 30μg/kg/hを同時投与したが,PGE1 10μg/kg/h単独投与よりも肝障害は悪化した.一方,adenosine 1mM/kg/min投与では肝細胞障害は改善されなかったが,amrinone 10μg/kg/minの併用投与により改善され,血清中のnitric oxide代謝物(Nox)や肝組織中のcAMP,cGMP濃度も,有意に上昇した.再灌流後の肝組織は壊死巣と炎症細胞の浸潤が目立ったが,adenosine,amrinoneの併用によりこれらの肝細胞の障害が抑制された.
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