2000 Fiscal Year Annual Research Report
CrmA及びFasLの遺伝子導入を用いた肝移植拒絶反応抑制効果に関する研究
Project/Area Number |
12671171
|
Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
梨井 康 国立小児病院, 小児医療研究センター・実験外科生体工学研究部, 研究員 (60321890)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 盛一 国立小児病院, 小児医療研究センター・実験外科生体工学研究部, 部長 (00111386)
奥山 虎之 国立小児病院, 小児医療研究センター・先天異常研究部, 室長
木村 広光 国立小児病院, 小児医療研究センター・実験外科生体工学研究部, 室長 (80115477)
|
Keywords | アデノウイルスベクター / Fas-ligand / CrmA / 臓器移植 / Cre / loxP / アポトーシス / 遺伝子治療 / HepG2 |
Research Abstract |
本研究では、(1)loxP配列を持つON/OFF系FasL、CrmAアデノウイルスベクターをCOS-TPC法を用いて作製した。この系は標的細胞内で外来遺伝子を発現する為には外来遺伝子を発現するベクターとCre組み換え酵素を発現するベクターとを共感染させる必要がある。loxP配列を持つ各遺伝子の発現アデノウイルスベクターの蛋白発現の割合はCre組み換え酵素発現ベクターの感染量に依存していた。作製したCre/loxP系を用いたアデノウイルスベクターAxCALNFasL、AxCALNCrmAおよびCre組み換え酵素発現用ベクターAxCANCreを共感染させたCOS-7細胞ではラットFasL、CrmAがWestern blottingで検出されたが、AxCALNFasLのみを感染させた細胞ではFasL、CrmAの発現は認められなかった。また生体内の肝臓での各遺伝子の発現も認められた。(2)FasL機能的な発現によるHepG2細胞へのアポトーシスの誘導について検討を行った。HepG2細胞にAxCALNFasLをMOI6で、AxCANCreをMOI0からMOI1までの範囲で共感染させた。その後24時間培養したHepG2細胞を位相差顕微鏡下にて観察した。また蛋白質を抽出し、Western blottingによって解析した。その結果AxCANCreの感染濃度依存的にHepG2細胞に細胞死が観察された。Western blottingによる解析はAxCANCreの感染量がMOI0ではFasLは検出されなかったが、AxCANCreの感染濃度依存的にFasLに相当するシグナルの増強が認められた。(3)CrmA発現によるHepG2細胞のアポトーシスの抑制について検討した。CrmAを遺伝子導入したHepG2細胞では抗Fas抗体によるアポトーシスは劇的に抑制され。アポトーシスの抑制効果はAxCANCreの感染濃度の増加に伴って増加した。更にカスペース3と8の活性はCrmA導入細胞においては有意に抑制されていた。これらの結果はCrmAがFas/FasL介在性のアポトーシスを抑制するための効果的な遺伝子産物であることを示した。
|