2000 Fiscal Year Annual Research Report
脳死肝移植における肝微小循環障害の解明とその障害抑制法の開発
Project/Area Number |
12671172
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
佐藤 光史 北里大学, 医学部, 助教授 (40118815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 毅 北里大学, 医学部, 講師 (70245405)
伊藤 義也 北里大学, 医学部, 助手 (40203187)
松本 豊 北里大学, 医学部, 助手 (90301473)
柿田 章 北里大学, 医学部, 教授 (90109439)
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Keywords | 脳死 / 肝 / 微小循環 |
Research Abstract |
平成12年度研究業績 1)ラット実験的脳死モデルの作成 我々はこれまで家兎を用いてバルーンカテーテルを硬膜外に挿入しバルーンを膨張させて頭蓋内圧を上昇させることによって脳死を作成するという方法で検討を行ってきた。今回これをラットに応用し再現性のあるラット脳死モデルを作成することができた。また脳死判定は脳波の完全消失、角膜反射の喪失、瞳孔散大、自発呼吸停止などの所見によった。 2)ラット脳死モデルにおける肝微小循環障害と接着因子およびケモカインの関与 ラットを脳死群とシャム手術群とにわけて比較検討した。脳死群では脳死成立と同時に全身血圧が著明に上昇し引き続き低下するというCushing現象が誘発され脳死成立後6時間にわたりこの低血圧は何らの処置を加えることなく維持された。これに伴い肝組織血流量も有意に低下した。時間胆汁分泌量は時間経過とともに減少傾向にあったがシャム手術群と比較して有意差は認めなかった。脳死6時間後の血清GOT値は脳死群で有意に高値を示したが血清GPT値には差はなかった。脳死後6時間の肝臓を摘出して病理組織学的に検討すると、肝内に集積した多核白血球数は脳死群で増加した。免疫組織学的にみると脳死群において、ICAM-1の発現が類洞壁および中心静脈内にシャム群に比べ増強され、P-セレクチンの発現はシャム群でみられなかったのに対して脳死群で門脈、中心静脈に発現した。またCINC陽性細胞が脳死群でみられた。さらに電子顕微鏡による観察において、脳死群のクッパー細胞が著明に腫大し活性化を示唆した。これらの結果から脳死肝においては肝微小血管と白血球とが相互作用して微小循環障害が惹起されているものと考えられ、これには接着因子およびケモカインが関与しているものと推察された。
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