2001 Fiscal Year Annual Research Report
不死化ヒト肝細胞を用いたハイブリッド型人工肝臓の作製
Project/Area Number |
12671175
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
猪口 貞樹 東海大学, 医学部, 教授 (60160008)
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Keywords | 初代培養ヒト肝細胞 / アデノウイルスベクター / 遺伝子導入 / SV40T抗原 / 形質転換コロニー / 不死化 / ハイブリッド型人工肝臓 |
Research Abstract |
【目的】初代培養肝細胞を用いたハイブリッド型人工肝臓の研究開発が進んできている。しかし初代培養肝細胞は、通常の培養条件では数週間程度しか維持させることができず、次々と死滅していく。また初代培養肝細胞は安定供給も難しく、これらのことが初代培養肝細胞を用いたハイブリッド型人工肝臓作製にあたっての大きな制限となっている。東海大学・医学部の片山時孝(今回出向により研究代表者交代となった)は、アデノウイルスベクターを用いるとラットおよびサル初代培養肝細胞にSV40初期遺伝子を導入、形質転換させ得ること、長期培養、不死化さらに大量培養が行えることを見いだした。今回同様の方法によりヒト肝細胞の不死化およびこれを用いたハイブリッド型人工肝臓の作製を試みた。【方法および結果】ヒトアデノウイルス5型のE1A、E1B遺伝子を複製能欠損SV40初期遺伝子と組み替えたアデノウイルスベクターをMOI(multipli city of infection)100でヒト肝細胞に感染させ長期継代培養を行なったところ12ケ月以上にわたり良好に増殖しており不死化したと考えられた。不死化した肝細胞にSV40T抗原の免疫染色を施行したところ、ほとんどの細胞でSV40T抗原が陽性であった。またアルブミンの免疫染色では細胞質に局在が観察された。不死化ヒト肝細胞は大量培養が可能で安定供給できるようになった。1.Urea合成能、チロシンアミノトランスフェラーゼ(TAT)活性:単層培養による継代培養を継続していくと、Urea合成能およびTAT活性は経時的に低下することが認められた。不死化肝細胞を3次元培養することでこれら機能がより良く温存されることが示唆された。2.不死化ヒト肝細胞をSCID(severe combined immuno deficiency)mouseに移植し、癌化しないことを確認継続中である。3.不死化ヒト肝細胞をpoly-N-vinylbenzyl-β-D-lactonamide(PVLA)シャーレ上で3次元培養:PVLAシャーレ上でスフェロサイトを形成し高密度3次元培養の至適環境を現在検討中である。【結語】不死化ヒト肝細胞の大量培養が可能となり安定供給を確立した。
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