2001 Fiscal Year Annual Research Report
停止肝移植における低体温酸素化療法と肝動脈、上腸間膜動脈同時灌流摘出法の有効性
Project/Area Number |
12671177
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
内山 正美 東京医科大学, 医学部, 講師 (40276902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 賢治 東京医科大学, 医学部, 助手 (10267586)
松野 直徒 東京医科大学, 医学部, 講師 (00231598)
長尾 桓 東京医科大学, 医学部, 教授 (90143487)
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Keywords | 肝移植 / 心停止後移植 / 低温灌流保存 |
Research Abstract |
(対象と方法) 1)実験動物:体重20〜25kgのブタをドナーとして使用した。 2)ドナーは臨床における死戦期に近似させるため、全身麻酔下にroom airの呼吸器管理のもと、脱血による低血圧(収縮気圧60mmHg)を1時間維持した後に呼吸器を停止し心停止させた。 I群(Control群):心停止後、右外腸骨動脈より大動脈内に留置したカテーテルから直ちに4℃ラクテートリンゲル液を30ml/min/kgの流量で注入し、30分間の死体内冷却を行った後、肝臓を摘出した。 II群(低体温群):あらかじめ大動脈内にダブルバルーンカテーテルを、大静脈内に胸腔内留置用カテーテルを留置し、両カテーテルをpercutaneous cardio pulmonary suport(PCPS:デルフィンTMテルモ社)に接続し、低血圧負荷期より流量30ml/min/kgで34℃の低温化を行う。心停止後は両カテーテルのバルーンをそれぞれ膨らませた後回路内の血液を4℃ラクテートリンゲル液に置換し、30分間の死体内冷却を行った後、肝臓を摘出した。 (結果)II群モデル作成において、ブタを低血圧,低体温負荷を加えた時の安定した循環動態の維持が困難であり施行した5例のうち4例が1時間の負荷期を満たさずに心停止してしまったことから、予定したIII群(低体温群+酸素化群:II群のPCPS回路に人工肺を加え酸素化を行う群は施行せずに、低血圧負荷の後、心停止後温阻血負荷を30分加えたモデルに対し、低温持続灌流保存法を行った後に同所性肝移植を行い、保存液内の逸脱酵素や灌流中のグラフト血管抵抗と移植後のトランスアミナーゼとの関係から同法の有用性について検討する実験を行った。その結果、n=20において灌流保存液のAST,HRAと移植後のAST,HRAはいずれも相関関係を認め(R=0.64,p<0.01)、保存終了時の肝血管抵抗は術後のAST値と相関した(R=0.84,p<0.01)。また生存率を検討すると灌流保存中の逸脱酵素の値や肝血管抵抗が低いものほど予後がよい傾向があった。以上から心停止後摘出肝に対しては、低温持続潅流保存法を行うことによって、移植後の機能発現や予後が予測されると思われた。
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