2000 Fiscal Year Annual Research Report
NOと活性酸素の相互作用によるポリADPリボースポリメラーゼの活性化とDNA障害
Project/Area Number |
12671186
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
米倉 竹夫 近畿大学, 医学部・附属病院, 助教授 (00258021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣岡 慎治 近畿大学, 医学部・附属病院, 助手 (10268394)
臼井 規朗 近畿大学, 医学部, 講師 (30273626)
窪田 昭男 近畿大学, 医学部, 講師 (10161671)
東野 英明 近畿大学, 医学部, 教授 (40122098)
大柳 治正 近畿大学, 医学部, 教授 (00030958)
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Keywords | 一酸化窒素 / 活性酸素 / ポリADPリボースポリメラーゼ / DNA障害 / 虚血再灌流障害 / オキシダントストレス / ニトロタイロシン / 3-アミノべンザマイド |
Research Abstract |
[目的]虚血再灌流障害(IRI)発症には、活性酸素やこれと1酸化窒素(NO)が反応し産生されるperoxynitriteなどによるDNA障害の関与が推測されている。さらにDNAが障害されると、その修復のためにpoly-ADP ribose polymeraseが活性化され細胞内ATPが消費され、これがIRIを助長する可能性も示唆されている。そこでラットの肝部分虚血再灌流モデルを用い、IRIによる肝細胞DNA障害に対するNOの役割と、poly-ADP ribose polymerase阻害剤である3-aminobenzamide(3-AB)の抑制効果の有無を検討した。[方法]雄性Wistar rat(200g〜300g)を用い70%肝組織の60分虚血、180分再灌流モデルを作成した。肝虚血前に3-ABの投与を行った群を3-AB群、非投与群をIRI群とし、肝虚血を行わなかったものをsham群とし、肝組織中のATPを測定するとともに、HE染色、TUNNEL法およびNitrotyrosine染色を行った。[結果]肝組織中ATP濃度はIRI群が他の2群に比し有意に低値であった。HE染色による組織障害の程度とTUNNEL法によるDNA障害の出現をみると、IRI群で最も細胞障害やDNA障害の出現が強かった。一方3-AB群はsham群とほぼ同様で、3-AB群では細胞障害およびapoptosisとも抑制されていた。Nitrotyrosine染色ではIRI群、3-AB群ともに虚血肝で強い発現を認めた。[まとめ]肝虚血再灌流時には、強いperoxynitriteの発現が見られるにも関わらず、肝細胞のDNA障害に対して3-ABが抑制効果を有することから、poly-ADP riboseが肝細胞の細胞障害の促進に関与している可能性が示唆された。
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