2000 Fiscal Year Annual Research Report
食道癌におけるシアリダーゼ遺伝子発現量の制御に関する基礎的・臨床的検討
Project/Area Number |
12671192
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮崎 修吉 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (50282075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 浩 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (30323025)
宮田 剛 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (60282076)
標葉 隆三郎 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (20192106)
原田 雄功 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (90292317)
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Keywords | 食道癌 / 悪性度評価 / シアル酸 / シアリダーゼ |
Research Abstract |
食道癌についてその浸潤能や転移能などの悪性化にシアル酸およびシアリダーゼが及ぼす影響について、遺伝子レベルで遺伝子導入実験を含めて詳細に解析を行う。具体的には、教室での年間約50例の食道癌の臨床材料を用い、遺伝子レベルおよび蛋白レベルでシアリダーゼの発現量を測定し、そのデータと臨床的な種々のパラメータとの相関を検討する。これにより、食道癌の臨床的悪性度評価の指標として、シアリダーゼの有用性について検討することを目的とする。また、基礎的研究として、培養細胞を用いシアリダーゼ遺伝子の導入実験を行い、癌の特性の変化について検討することにより、食道癌におけるシアリダーゼ遺伝子導入による遺伝子治療の可能性を検討する。 現在までに食道癌の臨床材料を25サンプルを集めた。それらの材料の蛋白レベルでの検討では癌組織でリソゾーム性シアリダーゼ活性が上昇していることをつきとめた。形質性シアリダーゼは全体としては癌組織での活性が上昇していたが、正常粘膜より活性が低下している癌組織も認められた。今後その臨床的意義については検討していく。 RT-PCRによるmRNAレベルの比較では、リソソーム性シアリダーゼのmRNAレベルは、粘膜と癌組織の間に有意な差を認めなかった。このことから、酵素活性上昇はmRNA以降の部分でコントロールされている可能性があることが示唆された。形質膜性シアリダーゼではPCRの結果が不安定で、現在までのところ、はっきりしたことは判明していない。プライマーの設定を変えながら、検討を続けているところである。 また、基礎的研究のレベルでは、高転移高浸潤能を持つメラノーマ細胞を用い、遺伝子導入により、リソゾーム性シアリダーゼ安定発現株を4株樹立した。この株では実験的な肺転移能が抑制されていた。現在このような癌特性の変化がどの様なメカニズムで起きているのか多角的に検討中である。
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