胃癌とEpstein―Barr virusとの関連性に関する研究とその臨床応用

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12671201
• Research Institution: CHIBA UNIVERSITY
• Principal Investigator: 小田 健司 千葉大学, 医学部・附属病院, 助手 (90282483)
• Keywords: 胃癌 / Epstein-Barr virus / 血清抗体価 / 臨床応用

Research Abstract

(1)リンパ上皮腫型胃癌では13例中12例(92.3%)にEBVゲノムが検出され、通常型胃癌では97例中5例(4.9%)、残胃癌では10例中3例(30.0%)がEBV関連症例であり、有意に残胃癌に多く認められた。(2)サザンブロット法によりEBVのmonoclonalityが証明され、腫瘍化との関連性が示唆された。(3)EBVの関連する残胃癌の組織型はsig,tub1,tub2おのおの1例ずつであり特異性は認められなかった。性別(男性1例,女性2例)、深達度(m,mp,se各1例)、初回手術原因疾患(胃癌2例,良性1例)、再建方法(B-I1例,B-II2例)、初回手術からの期間(6年,12年,34年)に関してもEBV非関連残胃癌との差異はみられなかった。(4)EBV関連胃癌症例では、抗VCA-IgG、抗EA-IgG、抗EBNAの増加が認められた。特に抗EA-IgGの上昇が特徴的で、specificity90.7%と特異性が極めて高く腫瘍マーカーとして臨床応用可能と思われた。他疾患で抗EA-IgGが上昇する疾患としては慢性活動性EBV感染症が挙げられた。(5)術後5年以上経過した当科通院中の胃切除後の患者さん20例を対象とし、抗EBV抗体価(EA-IgG,VCA-IgG)を測定したところ、現時点ではEA-IgGの上昇している患者さんは認められなかった。さらに症例を重ね検討する必要があると思われた。(6)HLAタイピングに関しては、症例数が少なく統計処理は困難な現状である。(7)SCIDマウスを使用した使用EBV関連胃癌のcell line作製は成功していない。