2002 Fiscal Year Annual Research Report
Hirschsprung病の病因におけるErbB2遺伝子の関与の検討
Project/Area Number |
12671210
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Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
八木 実 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (10251802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田 聡 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (90313535)
岩渕 眞 燕労災病院, 院長 (00018326)
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Keywords | Hirschsprung病 / 病因 / ErbB2遺伝子 |
Research Abstract |
Hirschsprung病(以下本症)の発生要因の一つに消化管の発生過程、特に神経堤細胞の発生において、特定の遺伝子変異が関与するとの報告が近年なされている。我々はErbB2遺伝子欠損conditionedノックアウトマウスが、心室の形成異常とともに神経節細胞の減少を生じているという米国Salk研究所Lee KF教授の報告をもとに、本遺伝子の変異もしくは欠失が、本疾患の発生に関与しでいる可能性を考えた。そこで当科で1991年より2002年までに経験した本疾患19症例についてまずErbB2遺伝子の発現について免疫組織化学による蛋白の過剰発現を検討し、異常所見が認められればその症例についてRT-PCRとdirect sequenceによる遺伝子異常の解析を行うこととした。それぞれの症例の組織標本よりHEにて正常神経節細胞を含む部と無神経節領域の部をそれぞれ分けて評価し、免疫組織学的にNSE(神経特異エノラーゼ)で神経節細胞を確認した上で、ErbB2のモノクローナル抗体を用いて免疫組織学的検討を行った。免疫組織学的には19症例中7例(36.8%)において正常神経節細胞部にErbB2の過剰発現を認めた。通常、本遺伝子は乳癌、肺癌、さらに小児では腎芽腫などに免疫組織学的に過剰発現が報告されている。先に述べた仮説のうち変異の形式をとるのであれば、免疫組織学的に過剰発現している可能性があり、陽性の9症例に関して同遺伝子の異常が関与している可能性がある。一方、分子生物学的検索として、同遺伝子の異常あるいは欠失については、今までに報告のある部位として骨肉腫あるいはEwing肉腫で検討された部位をターゲットとし、患者の末梢血リンパ球よりRNAを抽出する予定であるが、現在のところ免疫組織学的検索の検討方法に習熟を要したため、この段階には至っていない。現時点での結果、すなわちHE所見では一見正常と思われる領域の神経節細胞にErbB2が過剰発現していることは、germlineに何らかの変異を来しているこをが考えられる。今後は分子生物学的検索により変異を検討することで今後の研究を継続したい。
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