2002 Fiscal Year Annual Research Report
肝移植寛容および拒絶時における腸管リンパ組織の動態、機能および役割
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12671219
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
横井 佳博 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助手 (80313956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 達 浜松医科大学, 医学部, 教授 (00090027)
鈴木 昌八 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (20196827)
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Keywords | 肝移植寛容 / 腸管リンパ組織 / 粘膜上皮間リンパ球 / adoptive transfer |
Research Abstract |
本年は肝移植後の粘膜上皮間リンパ球(IEL)の免疫学的機能に関して検討した。 (方法)ラット肝移植の寛容系であるLEW->DAと強い拒絶系であるDA->LEWのコンビネーションで移植を行い、術後7日目にIELを分離した。予め、致死量以下の全身放射線照射(400rads)を行ったDAラットあるいはLEWラットへそれぞれ、LEW->DAとDA->LEWのrecipientから分離したIEL20 x 10^6個を全身投与(adoptive transfer)し、その後にそれぞれ、Naive LEWあるいはDAラットの心を移植後、生着期間を観察した。さらにIELへ浸潤するpassenger leucocytesの役割を見るために、予め、donor肝を致死量放射線を照射したのちに、寛容系の組み合わせで肝移植を行い、同じく術後7日目にIELを分離し、adoptive transferをおこなった。またdonor特異性をみるためにthird partyとしてBN ratsをドナーとした心移植の組み合わせを加えた。 (結果)Naive DAラットにLEWラット心を移植した(LEW→DA)後、6~9日目に拒絶された。Naive DAラットの脾細胞或いはIELのtransferにより、30日までの軽度の生着延長があった。肝移植寛容導入期(術後7日目)の(LEW→DA)IELのtransferにより、全例(n=5)において心移植は永久生着したが、同時期の脾細胞は半数(6匹中3匹)にしか、永久生着が得られなかった。この免疫抑制作用はBN→DAの心移植ではみられず、LEW donor特異性が証明された。予めLEW肝を致死量放射線照射して、DAラットへ肝移植した場合(passenger leukocytes消失)、術後DA recipientラットのIELは、免疫抑制作用は認められなかった。一方、LEWラットにDAラット心を移植した場合(DA→LEW)、6~7日目に拒絶された。DA->LEW肝拒絶反応時の脾細胞をtransferしても移植心の生着の延長効果は全くなかったが、代わりにIELを投与した場合、8~12日と生着期間の軽度の延長を認めた。 (小括)肝移植寛容の過程で脾細胞が免疫抑制を獲得する以前に、すでにIELには強い免疫抑制機能を有する細胞群が出現し、肝移植寛容を誘導する可能性が示された。さらにこのIELの免疫抑制効果は移植間の放射線感受性のあるpassenger leukocytesによってもたらされると考えられた。
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