2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12671239
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Research Institution | SAPPORO MEDICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
傳野 隆一 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (40163943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本間 敏男 札幌医科大学, 医学部, 助手 (30315494)
浦 英樹 札幌医科大学, 医学部, 講師 (50264510)
平田 公一 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50136959)
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Keywords | 胃癌 / 膵癌 / 肝転移 / 腹膜播種 / リンパ節転移 / 動物モデル / 細胞株 |
Research Abstract |
昨年に引き続き胃癌・膵癌の同一の親株よりそれぞれ、血行性転移、腹膜播種、リンパ節転移を高率に生ずる高転移細胞株を樹立した.転移株の樹立法として、ヌードマウスを用いた脾臓内接種法、腹腔内接種法に加え胃癌細胞株においては同所移植法を併用した.この手法によりこれまでに樹立した、胃癌AZ-521 line、膵癌HPC-3、HPC-4 lineに加え、胃癌NUGC-3、TMK-1 line、膵癌HPC-1、Panc-1、Capan-1 lineの胃癌、計3 line、膵癌、計5 lineからなるcell bankが完成した.さらに癌腫に特異的な転移形質の同定のため、cell bankを充実すべく、大腸癌、食道癌の同所移植法にて高転移株樹立を継続中である. これまでに樹立した細胞株および新たに樹立し得た株を用い、昨年度まで中心であった親株とそれぞれの高転移株の細胞生物学転移関連因子を比較検討に加え、macroarrayおよびDNA chipを用いて、分子生物学的側面から検討を行った.包括的な転移関連遺伝子解析により、各転移形式に関連が示唆される多数の遺伝子が同定された.さらに転移形式の違いを規定すると推察される遺伝子が、胃癌ではIntergrin 3やcadherinなど24種類、膵癌ではmatrilysinやFGFなど22種類が同定された(投稿中).しかしこれらの候補遺伝子の詳細な機能解明にはさらなる実験が必要であり、現在、数種類の候補遺伝子の親株あるいは高転移株への遺伝子導入あるいは遺伝子抑制によりそれらの転移形成に関わる詳細な機能を解析中である. 3年間にわたる研究によって、複数の消化器癌の高転移細胞株を集めたcell bankを設立し得たことが最大の成果であった.これらの細胞株をもちいた検討から、胃癌・膵癌細胞株ともに肝転移には血管新生因子が、腹膜播種には運動能の増強が重要な転移関連因子であると推察された.同時に膵癌では著明な接着能の増強も認めた.さらに膵癌の肝転移、腹膜播種成立に多数の遺伝子の発現上昇、低下が関連していることが示唆され、これらは新規抗転移薬開発における重要な候補遺伝子であるといえる.本実験にて同定された転移関連因子あるいは遺伝子を抑制・増強させることにより、転移抑制が可能であるか否か、その可能性の検討を今後の最重要課題と考えている.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Nishimori H, Yasoshima T, Hata F, et al.: "A Novel Nude Mouse Model of Liver Metastasis and Peritoneal Dissemination from the Same Human Pancreatic Cancer Line"Pancreas. 24. 242-250 (2002)
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[Publications] Nomura H, Nishimori H, Yasoshima T, Hata E. et al.: "A new liver metastatic and peritoneal dissemination model established from the same human pancreatic cancer cell line : analysis using cDNA"Clinical & Experimental Metastasis. 19. 391-399 (2002)
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[Publications] Nakajima F, Nishimori H, Hata F, et al.: "Gene Expression Screening using cDNA Macroarray for Clarification of the Mechanisms of Peritoneal Dissemination of Pancreatic Cancer"Surgery Today. (in press).
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[Publications] Ohno K, Hata F, Nishimori H, et al.: "Biological properties and differential gene expression profiles in established highly liver or peritoneal metastatic cell lines of human pancreatic cancer"J Clin. Exp. Can. Res. (in press).
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[Publications] Tanaka H, Hata F, Nishimori H et al.: "Differential Gene Expression Screening Between Parental and Highly Metastatic Pancreatic Cancer Variants Using a DNA Microarray"J Clin. Exp. Can. Res. (in press).