2000 Fiscal Year Annual Research Report
生体侵襲に対する過反応を回避したホメオスターシスの維持
Project/Area Number |
12671241
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
木暮 道彦 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (90264548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 拓朗 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (20305361)
星野 豊 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (30295414)
寺島 信也 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (80264547)
後藤 満一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (50162160)
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Keywords | 生体侵襲 / IAP / サイトカイン / 食道癌 / 免疫の局所反応 |
Research Abstract |
術後早期の生体侵襲に対する免疫反応は炎症性・抗炎症性サイトカインなどの増減として認識されるが、免疫抑制酸性蛋白(immunosupressive acidic protein;IAP)も炎症存在する場合には肝臓で産生され上昇する。またIAPは担癌状態ではTNF存在下にマクロファージから分泌され、その上昇は臨床的な免疫能の低下を反映することが示唆されている。本年度はまず最初に食道癌術前IAP値が予後とどのようにかかわるかを検討した。術前未治療食道癌75例を対象とし、術前血清IAP値が550μg/ml以上の群をA群、未満の群をB群に分類した。他病死・非切除例を除くA群(N=15)およびB群(N=60)の5年生存率(Kaplan-Meier法)はそれぞれ8.0%および61.9%とA群が有意(P<0.0001)に低値であった。Coxの比例ハザードモデルを用いた解析でもIAP値は有意に(P<0.0001)に生存期間に影響を及ぼしていた。 次にこのように食道癌術後の予後に大きな影響を与えるIAP値が、術後早期にはどのような変動を示すかを解析した。対象は開胸下食道亜全摘術3例(1例は胃全摘で結腸建、2例は胃管再建)と数は少ないが以下の事実が判明した。全身と局所の免疫反応の対比において、抗炎症性蛋白であるIAPは動脈血、肺動脈、胸水中において術後7日目までの観察では徐々に上昇し高値を示した。これに対して、炎症性サイトカインであるIL-6は胸水中において術後早期に極めて高値を示し術後3日目には減少したが高値を維持していた。このように術後徐々に増加するIAPと局所において高値を示すIL-6が、ステロイド投与によりその後どうのように変化していくかを今後解析していく予定である。
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