2001 Fiscal Year Annual Research Report
生体侵襲に対する過反応を回避したホメオスターシスの維持
Project/Area Number |
12671241
|
Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
木暮 道彦 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (90264548)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 拓朗 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (20305361)
星野 豊 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (30295414)
寺島 信也 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (80264547)
後藤 満一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (50162160)
|
Keywords | 食道癌 / 生体侵襲 / ステロイド / IAP |
Research Abstract |
術前未治療食道癌を術前メチルプレドニソロン250mg投与群(MP群)、非投与群(N群)に分類し、各々2例づつ右開胸下に食道亜全摘術を施行した。血液、胸水、腹水、気管洗浄液を術前、第1、3、5、7、10、30病日に採取し、IAP、IL-6、IL-10、PGE2を測定した。血清IAPでは両群とも第7病日に1066±94μg/mlと最高値となり以後漸減したが、MP群ではN群に比し常に低下傾向にあった。すなわちステロイド投与にて血中IAPは抑制される可能性が示唆された。またIAPと同様に免疫抑制作用が強いIL-10では、血液中および胸水中において第1病日に17.6±15.6および95±34pg/mlと最高値を示し以後漸減した。気管洗浄液中においては第5病日に223±202pg/mlと最高値を示した。このようにIL-10は、従来の報告ではSIRS状態の収拾時期に一致して上昇するといわれていたが、今回われわれの検討では血清、胸水中ともに術後早期に上昇し漸減していた。これはステロイド投与にかかわらず上昇を認めた。気管洗浄液中においては従来通り少し遅れて上昇していた。このように食道癌術後は生体において早期にはIL-10が、引き続きIAPが上昇し、常に免疫抑制状態が持続していることが推測された。昨年報告した如く術前血清IAP値が580μg/ml以上の症例はそれ未満の症例に比し有意(P<0.0001)に予後が不良であり、IAP高値は強い免疫抑制状態にある。よってステロイド投与によるIAP減少効果は有用であると考えられる。なお、今回の科研が遅れて採択されたこと、予算が少ないことから、症例も限られ十分な検討に至っていないが今回同時に測定したIL-6およびPGE2の結果を待って報告したい。
|