2000 Fiscal Year Annual Research Report
食道癌における遺伝子異常:特にp16INK4aとp19ARFについて
Project/Area Number |
12671247
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
三谷 眞己 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (20239271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 義之 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (90225326)
藤井 義敬 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (40156831)
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Keywords | esophageal cancer / p16INK4a / p19ARF / p53 / pRB |
Research Abstract |
癌抑制遺伝子であるp16INK4aとp19ARFはそれぞれ共通のexon2,3とexon1で構成されるが全く異なる蛋白をコードする。p16INK4aはpRBのリン酸化を阻害しG1/S期において細胞周期を止める働きがあり(RB経路)、p19ARFはp53を介してアポトーシス、細胞周期停止する働きがある(p53経路)。p19ARFの異常を検索しp53の変異との関連を検討することにより、食道癌の発生におけるp53を介するapoptosisの経路の重要性が明らかになると考えた。本研究では同一遺伝子座CDKN2にコードされた2つの癌抑制蛋白(p16INK4aとp19ARF)が食道癌においてどのように発現しているかを検討した。食道癌切除標本より43症例についてRNAを抽出した。RT-PCR法による半定量的な解析では、p16INK4aは19症例(44.2%)、p19ARFは8例(18.6%)に発現低下を認めた。また、p19ARFの8症例はすべてp16INK4aの発現低下も認めていた。p16INK4a、p19ARFと臨床病理学的因子との関係を調べたところ、有意に発現低下を認めなかった。pRB、p53に対する抗体を用いて免疫組織染色法をしたところ、pRBでは10症例(23.3%)で発現低下を認め、p53では、20症例(46.5%)で異常発現を認めた。しかし、p16INK4aとpRB、p19ARFとp53との間には有意な相関は認めなかった。今後も症例を増やし更なる検討が必要である。
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