2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト大腸Aberrant Crypt Foci の頻度及び分子生物学的特性に関する研究
Project/Area Number |
12671255
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
冨樫 一智 自治医科大学, 医学部, 助手 (10316531)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 俊彦 北里大学, 薬学部, 助教授 (10236862)
佐藤 知行 自治医科大学, 医学部, 助手 (50225976)
|
Keywords | aberrant crypt foci / 拡大内視鏡 / K ras / 大腸癌 / 過形成性ポリープ |
Research Abstract |
Aberrant Crypt Foci(ACF)の検索の同意の得られた166名(大腸癌例26・大腸腺腫65・正常例75、平均年令62.1±11.1、男90・女76)を対象として、研究を実施した。拡大内視鏡を用いて、直腸の第2ヒューストン襞より肛門側直腸のACFの頻度を観察し、カウントした。内視鏡観察下にACFと診断し生検を行った224病変のうち組織学的にACFと判断された118病変については、K-ras codon12の点突然変異に関して、auto-sequencerにより検索し、過形成性ポリープ(平均径8.4mm)52病変と比較した。ACFのカウント数の中央値は、大腸癌例3個、腺腫例3個、正常例3個であり、Kruskal-Wallis法で有意差はなかった。性差はなかったが、年令とACFの頻度の間に有意な相関関係(Spearman順位相関係数0.352、p<0.01)が認められ、高齢者でACFの頻度が明らかに高かった(69才以下2個、70才以上4個、p<0.0001、Mann-Whitney)。K-ras変異率はACF36.8%(43/117)、過形成性ポリープ30.8%(16/52)であった。ACFを組織所見により分類すると、K-ras変異率は"核異型のない腺管の拡張を特徴とするACF"24.1%(20/83)、"鋸歯状変化を伴うACF"69.2%(18/26)、"核異型を伴うACF"62.5%(5/8)となった。ACFの頻度は、大腸癌例で高いとはいえず、加齢とともに高くなった。非腫瘍性病変と考えられる過形成性ポリープでも、ACFとほぼ同程度のK-ras変異率を示した。以上の成果については、2000年5月に米国San Diegoで開催されたDDWにおいて報告し、現在、英文誌に投稿の準備を進めている段階にある。
|