2001 Fiscal Year Annual Research Report
超冷凍保存法(Cryopreservation)を用いた小腸移植に関する実験的研究
Project/Area Number |
12671265
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Research Institution | JIKEI UNIVERSITY SCHOOL OF MEDICINE |
Principal Investigator |
遠山 洋一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (80237057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 清哉 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手
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Keywords | 小腸移植 / Cryopreservation |
Research Abstract |
目的:donor不足は移植の分野で全世界的に深刻な問題である。したがって、各種臓器保存の研究が盛んに行われているが、小腸保存の研究は皆無といってよい状況である。そこで、グリセリンを用いた超冷凍保存法(Cryopreservation)によって長期のグラフト保存が可能であるかどうかを検討した。 方法:inbred male LEW(RT1^l)rats(200〜300g)の全小腸片を用い、血管内腔、腸管内腔をヘパリン生食にてフラッシュし、1.4Mグリセリンに4℃下1時間浸し組織に浸透させ、その後プログラミングフリーザーを用いて凍結を行った。-70℃まで冷却し、以後液体窒素(-196℃)で保存した。予備実験結果に基づき、グラフトの保存期間をコントロール群、1日、3日、1週の4群に分け、本実験を行った。解凍は37℃恒温槽内で振とうしながらの急速解凍とした。解凍後、移植片をヘパリン加生食水で洗浄し、さらに同液を用い血管および腸管内腔をフラッシュアウトした。200-300gのinbred male LEW(RT1^l)ratsをレシピエントとし、保存グラフトを用いて、同所性小腸移植を行った。実験群は以下の通り。1群:コントロール(n=6)、2群:1日保存群(n=10)、3群:3日保存群(n=8)、4群:1週間保存群(n=6)。 結果:グラフト保存群で、小腸移植後長期生存(移植後1ヶ月)が可能であったのは、1日間だけ保存を行った2群の4例だけであり、一方1日以上の保存群(3群、4群)では、術後短期間の生存に止まった。 考察:予想していた保存可能期間よりは、著しく短期間の保存でしか生存例は認められなかったが、少なくとも小腸グラフトの短期保存の可能性を示唆する結果と考えられた。しかし、今後さらなる保存期間の延長を目指し、保存液、冷凍方法、保存方法の検討が必要である。
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