2001 Fiscal Year Annual Research Report
逆流性食道炎に対する外科治療と酸分泌抑制薬の食道・胃粘膜への影響に関する研究
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12671266
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
柏木 秀幸 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (40185757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩原 栄一郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (30287271)
石橋 由朗 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (00246373)
小村 伸朗 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (70271301)
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Keywords | 逆流性食道炎 / 噴門形成術 / Helicobacter pylori |
Research Abstract |
近年増加が懸念される逆流性食道炎に対する治療としては酸分泌抑制薬が用いられている。特にプロトンポンプ阻害薬の登場により,高い治癒率が得られているが,薬剤中止後の再発率は高い。そのため,維持療法が用いられているが,長期にわたる酸分泌抑制の消化管ホルモンへの影響が危惧される。本疾患からの離脱を図るためにはNissen噴門形成術を代表とする逆流防止手術が用いられるが,腹腔鏡手術の導入により,低侵襲性治療として普及しつつある。本研究では,酸分泌抑制薬(主にプロトンポンプ阻害薬)による維持療法と腹腔鏡下噴門形成術の治療効果ならびに消化管ホルモンへの影響を検討中である。 1)臨床症状について 腹腔鏡下Nissen噴門形成術15例,Toupet法5例の検討では,術前に存在した胸焼け,逆流感などの症状は消失したが,2例(10%)に嚥下困難が持続した。薬物治療例,7例中2例は,逆流症状,食道炎の残存が見られ,手術適応となったが,残り5例は維持療法を継続された。 2)国際食道疾患会議AFP分類による評価 腹腔鏡手術例20例中,食道裂孔ヘルニア(A)は18例(90%)に認められたが,術後全例消失した。食道炎(P)は,外科治療群(20例),維持療法群(5例)で治療後に消失した。 3)ヘリコバクター・ピロリ抗体価 外科治療群,維持療法群ともに約40%がヘリコバクター・ピロリ陽性であった。 4)消化管ホルモン,胃内分泌細胞への影響 維持療法群において,血清ガストリン値は平均して2倍の増加が見られたが,外科治療群では,術前後において差が見られなかった。胃粘膜中のガストリン細胞数,ECL細胞数は検討中である。プロトンポンプ阻害薬内服中の胃粘膜の壁細胞の透過型電子顕微鏡による検討では,管状小胞の減少が強く,細胞基底膜が発達していた。
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Research Products
(1 results)