2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12671280
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
岩本 末治 川崎医科大学, 医学部, 講師 (60168599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊木 勝道 川崎医科大学, 医学部, 助手 (00268608)
山下 和城 川崎医科大学, 医学部, 講師 (30309546)
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Keywords | Wister系ラット / 1,2-dimethylhydrazine / 大腸発癌モデル / アラビノキシラン / aberrant crypt foci / 化学予防 |
Research Abstract |
癌の化学予防に関する研究は,近年の癌の基礎的研究の分野で重要な課題となっている。今回ラット大腸発癌モデルを用い,発癌剤1,2-dimethylhydrazine(DMH)投与開始時から,化学予防剤として米糖より抽出した免疫賦活剤アラビノキシランの投与を行う群と発癌剤のみ投与するコントロール群を作成して病理組織学的に化学予防の効果を検討した。方法:6週齢雌性Wister系ラットにDMH20mg/kgを週2回10週連続投与した。DMH投与当日からアラビノキシラン50mg/kgを飲水中に混ぜて投与する治療群(10匹)とDMH投与のみのコントロール群(10匹)を作製した。DMH初回投与から30週目に屠殺剖検し,大腸肛門を1塊として摘出し,全大腸を近位と遠位に2分割して,ホルマリン固定した。化学予防の効果はまず前癌病変とされるaberrant ctypt foci(ACF)の発生数を0.2%メチレンブルー染色後,全大腸(約20cm長径)にわたり計測し,数量化して判定した。結果:コントロールの近位大腸においてはACFの1crypt:321個,2crypt:243個,3crypt:159個,4crypt以上:94個であり,遠位大腸では1crypt:1029個,2crypt:922個,3crypt:949個,4crypt以上;854個であった。一方,治療群の近位大腸では1crypt:179個,2crypt:233個,3crypt:142個,4crypt以上;54個であり,遠位大腸では,1crypt:56個,2crypt:146個,3crypt:30個,4crypt以上;4個であった。即ち,治療群はコントロール群に比べ全大腸にわたりACFの発生数の減少を認め,特に遠位大腸においては有意差を認めた。結論:DMHによるラット大腸発癌モデルにおいて,アラビノキシランは化学予防物質になり得る可能性が示された。
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Research Products
(15 results)
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[Publications] 伊木勝道: "膵癌進展過程におけるmatrix metalloproteinases(MMPs)の役割と膵癌血清診断への応用に関する基礎的研究"川崎医学会誌. 25・1. 1-10 (1999)
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[Publications] Katsumichi Iki: "Expression of matrix metalloproteinase 2 (MMP-2), membrane-type 1 MMP and tissue inhibitor of metalloproteinase 2 and activation of proMMP-2 in pancreatic duct adenocarcinomas in hamsters treated with N-nitrosobis (2-oxopropyl) amine"Carcinogenesis. 20・7. 1323-1329 (1999)
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[Publications] 伊木勝道: "ハムスター膵癌におけるMMP阻害剤の発癌抑制効果"日本消化器外科学会雑誌. 33・4. 560-563 (2000)
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[Publications] Katsumichi Iki: "Minimal pulmonary embolism detected after abdominal insufflation for laparoscopic cholecystectomy"Surgery. 127・6. 719 (2000)
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[Publications] 伊木勝道: "虫垂が嵌頓した大腿ヘルニアの一例"兵庫県医師会医学雑誌. 43・1. 26-28 (2000)
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[Publications] 角田司: "膵癌取扱い規約改訂 第5版の病期分類とTNM分類"肝胆膵. 41・4. 663-672 (2000)
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[Publications] 浦上淳: "術前診断しえた胆嚢捻転症の1例"胆道. 14・2. 154-159 (2000)
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[Publications] 真嶋敏光: "嚥下を誘因として高齢女性に発症した特発性食道破裂の一例"川崎医学会誌. 26・2. 121-126 (2000)
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[Publications] 真嶋敏光: "横隔膜上巨大食道憩室症の一例"川崎医学会誌. 26・2. 115-119 (2000)
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[Publications] 川島邦裕: "脾原発inflammatory pseudotumorの2例"日本消化器外科学会雑誌. 33・3. 357-361 (2000)
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[Publications] 三上佳子: "脾過誤腫の1例"川崎医学会誌. 26・3. 167-172 (2000)
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[Publications] Michio Shimizu: "Cytology findings in noninvasive intraductal papillary mucinous carcinoma of the pancreas. A report of two cases"Acta Cytologica. 43・2. 243-246 (1999)
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[Publications] 岩本末治: "IV.膵癌 1.わが国の実態 図説消化器病シリーズ14.膵炎,膵癌"メジカルビュー社. 5 (2000)
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[Publications] 岩本末治: "9.注射事故と法律.ナース・ドクターのための注射法マニュアル(改訂第2版)"南江堂. 14 (2000)
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[Publications] 山下和城: "3.薬物の血中濃度と注射薬.ナース・ドクターのための注射法マニュアル(改訂第2版)"南江堂. 14 (2000)