2000 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌におけるCRTFのTIMP-I制御因子としての意義
Project/Area Number |
12671281
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
青柳 慶史朗 久留米大学, 医学部, 助手 (20202492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 誠也 久留米大学, 医学部, 助教授 (60268844)
金澤 昌満 久留米大学, 医学部, 助手 (00268898)
宮城 委史 久留米大学, 医学部, 助手 (80309806)
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Keywords | 胃癌 / TIMP-1 / 転写因子 / CRTF / 腹膜播種 / アデノウイルスベクター / IL-10 |
Research Abstract |
胃癌におけるTIMP-1の新しい転写因子であるCRTFの胃癌における意義について検討し、平成12年度においては以下の結果を得た。 まず、前立腺癌の培養細胞株であるPC-3において同定されたCRTFが胃癌培養細胞を含めた消化器癌細胞においても認められるかを胃癌培養細胞株:MKN25,MKN45,大腸癌培養細胞株:KM125M,SW620,食道癌培養細胞株:KE3,TE9を用い、細胞より核蛋白を抽出し、^<32>Pでlabelしたoligo(human TIMP-1 enhancer element)と反応させ、Gel shift assay後、autoradiographyにて定量した。培養液,細胞質分画を抽出し、ELISA法にてTIMP-1蛋白を測定した。また、CRTFのligandであるIL-10およびFBS,線維芽細胞コンディションメディウム(CM)添加によるCRTF活性化とTIMP-1産生能の変化および各癌細胞のCMの添加による線維芽細胞のCRTF活性化とTIMP-1産生能の変化も検討した。その結果IL-10刺激によりMKN-45,SW620,KE3にCRTF活性化とTIMP-1蛋白濃度の上昇を認めた。したがって、PC-3以外にもMKN-45をはじめとする消化器癌培養細胞株にもCRTFを介したTIMP-1産生経路の存在が示唆された。また、CRTF活性化因子としてIL-10以外の線維芽細胞および腫傷細胞の産生する何らかの液性因子の存在が示唆され、癌組織のTIMP-1産生制御に癌細胞と線維芽細胞の相互作用が重要と考えられた。 次にTIMP-1遺伝子導入による腹膜播種治療への意義を検討する基礎実験として、まず、胃癌培養細胞株MKN-45,MKN-28にTIMP-1遺伝子を組み込んだアデノウイルスベクターAdv CMV TIMP-1およびLacz遺伝子を組み込んだAdv CMV Laczをin vitro感染実験を行い、100MOIのウイルスで培養液をもちいたELIZA法によりTIMP-1濃度の上昇を認めた。以上よりCRTFによる胃癌に対する遺伝子治療の可能性がうかがわれた。
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