2001 Fiscal Year Annual Research Report
膵胆道癌の浸潤転移の阻止(肝細胞増殖因子を標的とした新治療)
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12671286
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
志村 英生 福岡大学, 医学部, 助教授 (80178996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 靖洋 福岡大学, 医学部, 教授 (40038758)
中村 浩 福岡大学, 医学部, 助手 (60309911)
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Keywords | 肝細胞増殖因子 / アンタゴニスト / 遺伝子治療 / 膵胆道癌 / 腹膜中皮細胞 / 腹膜播種 |
Research Abstract |
乎成13年度は12年度の成果をうけ、HGFの働きを阻害するantagonistであるHGF/NK4をアデノウイルスに組み込んだウイルスベクター(AdCMVNK4)を用いて、胆道癌GB-d1転移モデルでの治療実験を行った.モデルとして(1)ヌードマウスの腹膜播種転移モデルと(2)皮下接種モデルを用い、癌転移の発生と腫瘍の増大を指標にウイルスの効果を判定した. <結果> 1.ヌードマウスを開腹して腹壁に貫通創を作成し縫合閉鎖したあとで胆道癌細胞GB-d1を腹腔内に注入すると、創部に一致して癌の転移結節が形成された.この腹膜播種転移モデルマウスにアデノウイルスを以下のように投与した.精製したAdCMVNK4のmoiを変えて腹腔内に投与し、2週間後観察すると、コントロールに用いたウイルスAdCMVLacZに比べてmoiが100-200の場合に癌結節の成長が強く抑制された.ウイルスの腹腔内投与時の腹水中のNK4産生量を測定したが、発現量は少なく最大1ng/ml程度が得られた. 2.腹腔内でのNK4の産生の場を検討するため腹水や大網から腹膜中皮細胞を採取培養してウイルスを感染させた.中皮細胞培養上清中にNK4の産生が認められ、この上清はgel migration assayでのHGFにより誘導されるGB-d1細胞の運動能や浸潤性を阻害した. 3.皮下結節モデルを作成して、腹腔内にウイルスを注入感染し、癌の発育を経時的に測定した.AdCMVNK4の腹腔内への注入によって癌の発育に大きな影響はなく増殖阻止効果はなかった.血清中のNK4の産生は測定限界以下であった. <まとめ> 腹腔内に投与されたAdCMVNK4ウイルスは腹膜中皮細胞に感染して腹水中にNK4を分泌して腹壁への腫瘍の転移発育を阻害したものと思われた.
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