2001 Fiscal Year Annual Research Report
消化器系癌における免疫寛容と自家癌細胞を抗原とする特異的免疫療法の研究
Project/Area Number |
12671289
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Research Institution | Chiba Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
早田 浩明 千葉県がんセンター, 病理研究部, 研究員 (90261940)
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Keywords | 特異的細胞障害性Tリンパ球 / リンパ球腫瘍混合刺激培養 / Th1 CD4^+Tリンパ球 / 可溶性IL-2レセプタター |
Research Abstract |
腺癌を中心とした消化器系癌手術症例中、絶対非治癒切除例を対象にalternative pathwayによる特異的細胞障害性Tリンパ球(CTL)誘導とこれをエフェクターとした養子免疫療法を研究している。CTLの誘導に関しては自家腫瘍細胞株を樹立できた症例に対し、alternative pathwayの概念に沿った2段階混合刺激培養(MLTC)で誘導を試みている。これまでの研究からCD14^+細胞の多寡がCD4^+Tリンパ球の分化に強い影響を与えていることが判明している。これは培養上澄液に含まれるサイトカインの分析より示唆された。CTLをエフェクターとする養子免疫療法については当研究機関内の倫理委員会の承認を得て自家腫瘍細胞株を樹立した大腸癌絶対非治癒切除症例を対象に行っている。しかしながら、最近の化学療法の進歩により癌巣がよくコントロールされ、本研究の対象症例となるころは免疫動態が刺激しても反応しなくなっており、臨床効果判定はminor responseにとどまった。進行癌担癌宿主では抗腫瘍免疫が強く抑制されているために、通常のMLTCではTh1 CD4^+Tリンパ球の活性化すら容易ではない。この要因を宿主の免疫動態に影響を及ぼす物質に絞り、研究した。その結果、可溶性、IL-2receptorが高度進行癌症例では血中に高濃度認められ、in vivoではTh1系リンパ球の不活性化が進んでいることがあきらかになった。この趣旨の報告は第36回日本癌治療学会総会、第60回日本臨床外科学会総会ワークショプ、第100回日本外科学会で発表した。癌性胸腹水症例における局所的な免疫寛容の研究では胸腹水中のサイトカインの分析を中心に行っているが、術後の浸出液との相違に明確な差が認められていない。
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