2001 Fiscal Year Annual Research Report
肺移植における摘出肺の保存条件の基礎的検討〜ラット肺胞II型細胞のサーファクタント合成能を指標とした評価方法の確立〜
Project/Area Number |
12671296
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Research Institution | IWATE MEDICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
諏訪部 章 岩手医科大学, 医学部, 教授 (20241713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷田 達男 岩手医科大学, 医学部, 教授 (20217144)
大竹 和久 山形大学, 医学部, 助手 (30312739)
高橋 敬治 金沢医科大学, 医学部, 教授 (50004685)
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Keywords | 肺移植 / 肺胞II型細胞 / 肺サーファクタント |
Research Abstract |
本年度は、ラット肺からの単離肺胞II型上皮細胞(以下II型細胞)を用いた各種保存液の影響、ならびに各種保存液で灌流したラット肺から単離したII型細胞の機能について検討を行った。まず、ラットからMasonらの方法でII型細胞を分離し、アメリカで広く使用されている細胞内液類似組成であるEuro-Conins液(EC液)と細胞外液類似組成であるPerfadex液(P液)の2種類の異なる臓器保存液の下で肺サーファクタントの合成・分泌実験を行った。 その結果、P液に比べ、EC液で保存したII型細胞は生存率が悪く、サーファクタント合成能(^3H-cholineの^3H-phosphatidylcholineへの取り込み)も低下していた。一方、P液で保存したII型細胞は、対照の通常の細胞培養用の培地(DMEM)で保存した場合よりも生存率がよく、サーファクタント合成能も有意に増加していた。次に、ラットから肺を摘出し、両保存液で肺動脈から灌流後、8時間まで両液中で4℃で保存した。その後、通常の方法でII型細胞を分離し、サーファクタントの合成能を評価した。その結果、EC液で保存した肺からのII型細胞は、P液で保存した場合よりも、回収率が悪かった。しかし、両肺より分離したII型細胞のサーファクタント合成能は両者で有意差は認めなかった。 以上から、肺組織保存には、P液はEC液より有用であり、P液はII型細胞の機能を高める可能性が示された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hirata A, Igarashi M, Yamaguchi H, Suwabe A, et al.: "Nifedipine suppresses neointimal thickning by its inhibitory effect on vasular smooth muscle cell growth via a MEK-ERK pathway coupling with Pyk2"Br J Pharmacol. 131. 1521-1530 (2000)
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[Publications] 諏訪部章, 大竹和久, 富永真琴: "ビデオ撮影による分離ラット肺胞II型細胞からのサーファクタント分泌とその抑制の解析"日本界面医学会誌. 31. 101-103 (2000)
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[Publications] 諏訪部 章: "Surfactant -研究の現状と臨床応用-Surfactantの臨床応用肺胞蛋白症"The Lung perspectives. 9. 56-61 (2001)
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[Publications] 諏訪部 章: "Defensive mechanisms for lung injury by type II cells and pulmonary surfactant"日本界面医学会誌. 32. 32-37 (2001)
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[Publications] 諏訪部 章: "ONE POINT MEMO臨床検査ひとくちメモ:肺傷害の血清マーカーの種類とその意義について教えて下さい。"モダンメディア. 47・11. 283-287 (2001)
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[Publications] 諏訪部 章, 中村 秀範: "基礎化学実験法(日本生化学会編)"東京化学同人. (2000)