2001 Fiscal Year Annual Research Report
組織工学技術を用いた骨髄幹細胞包理型ハイブリッド小口径人工血管の開発
Project/Area Number |
12671323
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
佐藤 伸一 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (30178735)
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Keywords | 小口径人工血管 / 多層式 / 骨髄細胞 / コラーゲン / ハイブリッド人工血管 |
Research Abstract |
従来より小口径人工血管の研究開発を進めてきた。本年度は、多層式骨髄細胞包埋型ハイブリッド人工血管最適化条件の検証及び骨髄幹細胞包埋型ハイブリッド人工血管移植術を行った。前者の研究結果に関して、本年度の第13回国際人工臓器学会(2001年11月、大阪)において発表した。 1)多層式骨髄細胞包埋型ハイブリッド人工血管作製、最適化条件の検証 New Zealand White Rabbitの大腿骨から骨髄を採取し骨髄幹細胞を培養した。骨髄幹細胞とI型コラーゲン溶液を氷冷下に混合撹絆し、冷混合溶液をあらかじめ作製しておいた円筒型鋳型(内径4mm、外径10mm、長さ6cm)に注入し37℃30分加温して、半透明、やや脆弱な円筒状ゲルを得た。培養3日後、同混合液を再度注入にて2層式ハイブリッド人工血管を作製した。1)層式(1層、2層式)、2)包埋細胞の種類(新鮮骨髄幹細胞、培養骨髄幹細胞)、3)ヘパリン包埋の有無、の3因子により、6種類のモデルI〜VIを作製し比較検討した。7日間培養後、いずれのモデルも円筒状ゲルは経時的に収縮した円筒状組織体となり、十分縫合可能な強度を得た。耐圧試験では、2層式、培養骨髄幹細胞包埋型、ヘパリン無しのモデルが、110mmHg±22mmHgと最も高圧に耐えることができた。組織検査では、円筒状組織体の短軸切片、HE染色法の観察にて、コラーゲンメッシュ内に骨髄細胞が円周状に配向し分布しているのが観察された。 2)骨髄幹細胞包埋型ハイブリッド人工血管移植術 作製した6種類のモデルから、耐圧能より2層式培養骨髄幹細胞包埋型、ヘパリン無しのモデルを移植実験モデルとして採用し、これをNew Zealand White Rabbitの腹部大動脈に移植した(N=8)。その際、人工血管モデルをポリエステルシートで被覆した。抗凝固療法としてアスピリンを用いた。24時間後に犠牲死せしめてグラフトを観察した。6例は血栓閉塞、2例のみ開存であった。組織検査等詳細を検討中である。
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