2000 Fiscal Year Annual Research Report
肺における線維化の指標としてのプリオン蛋白の発現とその臨床応用
Project/Area Number |
12671324
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
井上 清俊 大阪市立大学, 医学部, 講師 (50193579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田 研司 大阪市立大学, 医学部, 教授 (30161186)
木下 博明 大阪市立大学, 医学部, 教授 (50047122)
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Keywords | プリオン蛋白 / 肺 / 線維化 / 原発性肺癌 / 放射線療法 |
Research Abstract |
肝臓において、類洞壁星細胞が活性化し線維化を生じるに伴ってプリオン蛋白を発現することをヒントとし、肺の線維化におけるプリオン蛋白の発現について基礎研究および臨床研究を現在行なっている。 基礎研究として肺組織におけるプリオン蛋白産生細胞の解析を、肺線維症モデルを作成し免疫組織化学的手法を用いて行なった。正常肺では細気管支に広く分布するClara Cellにプリオン蛋白の発現が認められた。次にブレオマイシンにて作成した肺線維症モデルでは、終末細気管支の周囲に、新たな細気管支と線維組織の増殖とを認めた。この新たに増殖した細気管支と線維化組織内の再生肺胞上皮にClara Cell用のプリオン蛋白陽性を認めた。これらはClara Cellが万能細胞として増殖し、障害を受けた肺組織の上皮組織修復の役割を担っていることを示唆している。 臨床研究は、当病院において原発性肺癌症例で放射線療法と化学療法を施行した後、外科的治療を行なった摘出標本を用いて、プリオン蛋白発現を指標とした至適放射線量と範囲および術式の再評価を行なうことを目指している。現在までの摘出した標本においては、放射線療法終了後約6〜8週経過し線維化が完成した為か、明らかなプリオン蛋白陽性細胞の増殖は認めていない。したがってプリオン蛋白の発現が最も顕著と思われる時期、すなわち放射線療法の影響が強く存在し、明らかに線維化が完成する以前の肺組織を対象として、免疫組織化学的手法およびPCR法を用い検討する予定である。これには放射線療法終了後に経気管支鏡下肺生検を行なわなければならず、院内での倫理委員会の認可および患者本人の同意が必要であり、現在準備を行なっている。
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