2001 Fiscal Year Annual Research Report
人工酸素運搬体をツールとして用いた実験的肺腫瘍における微小循環制御機序の解明
Project/Area Number |
12671328
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
堀之内 宏久 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60173647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 徳子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30306732)
渡辺 真純 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90201227)
小林 紘一 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (80051704)
山本 学 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10317159)
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Keywords | 人工酸素運搬体 / 肺微小循環 / 腫瘍循環 / 一酸化窒素 / 共焦点レーザー顕微鏡 |
Research Abstract |
実験的肺腫瘍を作成する方法として、Donryuラットに自然発生した腹水肝癌LY80を用いることとした.岩丸らは皮下にLY80とSato Lung Cancerを移植した際の腫瘍内酸素分圧と血流、及び血流分布を調べ、LY80で均一な腫瘍内血流が成立する事を明らかとした.これに基づき、LY80を用いて実験的転移性肺腫瘍を作成することとした.腫瘍の作成は経静脈移植、経皮移植、胸腔内注入、開胸肺内局所注入を検討した.発生率は低いものの尾静脈注入による転移性肺腫瘍を実験に供した。 尾静脈注入により作成した肺転移層の組織学的な構築を知るために、尾静脈注入後4週経過したラットを犠牲死させ、肺を固定して転移腫瘍を検討した結果、腫瘍細胞は肺実質、肺胞腔内、胸膜直下に充実性に増殖し、胸膜直下を主体として血管網が形成されているのが認められた.胸膜直下に移植した腫瘍を用いたモデルでは、腫瘍血管は肺動脈より蔓上に伸び、複雑な毛細血管網を形成していた.しかし、この血管が肺循環由来であるか大循環由来であるかについては明らかではなかった. レーザー共焦点顕微鏡を用いて腫瘍血流および周囲の肺微小循環を可視化して腫瘍血管の反応性を検討した。腫瘍血流は肺動脈由来の血液で栄養され、Oxyhemoglobin溶液(5g/dl)を注入すると、正常部分の細小肺動脈は収縮したが、転移腫瘍部分では、血管系及び血管構築に変化は認めなかった. また、血流速度を赤血球をFITC標識して測定する方法を確立し、評価を行っている。プレリミナリーながら、Oxyhemoglobin投与による一酸化窒素吸着では腫瘍血管に変化を及ぼさないことから腫瘍循環には一酸化窒素の影響は少ないものと思われた。
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