2002 Fiscal Year Annual Research Report
小口径動脈グラフトによる冠動脈側側吻合の有効性を実証するための理論的・実験的研究
Project/Area Number |
12671332
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
新浪 博 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (30241079)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅津 光生 早稲田大学, 理工学部, 教授 (90132927)
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Keywords | 心臓外科 / 冠動脈バイパス手術 / 小口径動脈グラフト / 内胸動脈 / 側側血管吻合 / 端側血管吻合 / 圧力損失 |
Research Abstract |
冠動脈バイパス手術における末梢側吻合を側側吻合法および端側吻合法の二種類でその違いを評価することを目的としているが,昨年度までは疑似回路を用いたin vitroのモデルで実験を行ったところ側側吻合の方が端側吻合よりも圧力損失が少なく,流れに対し抵抗が少ないという結果を得ることができた.このデータを補助するために本年度はin vivoの実験を行いin vitroで得られたデータが生体内においても反映するかどうかを検証した. 実験は40kg前後のブタを5頭用いて行った.全身麻酔下に両側の内胸動脈を剥離し,人工心肺下に左右の内胸動脈を右冠動脈に吻合した.この際,一方の内胸動脈は側側吻合を行い,もう一方の内胸動脈は端側吻合を行った.吻合後に内胸動脈と冠動脈の吻合部よりも遠位部に電磁流量計を設置し,圧計測用のカニューレを内胸動脈および冠動脈の吻合部よりも遠位部に刺入した.その後人工心肺を離脱し,測定を行った.圧力損失は両内胸動脈の流量を一定にした条件下では側側吻合では2.99mmHg,端側吻合では6.02mmHgと側側吻合の方が50.2%低値を示した. この結果はin vitroで得られた結果と一致することよりin vitroにおける実験は十分に生体内における状態を反映していると推測することができた. 以上より,冠動脈バイパス手術においては内胸動脈などの小口径血管によるバイパスを行う際には,側側吻合法が従来の端側吻合法と比較すると血管抵抗が少ない優れた吻合法ではないかと考えられた.
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