2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト神経膠芽腫における壊死巣形成機構を標的とした治療の基礎的研究
Project/Area Number |
12671346
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
立花 修 金沢大学, 医学部, 講師 (40211362)
|
Keywords | glioblastoma / decoy receptor 3 / Fas / Fas ligand |
Research Abstract |
ヒト神経膠芽腫の細胞死に結びつく遺伝子・蛋白としてFas/FasLの発現と壊死巣の関係を報告してきたが、この両者のみで壊死巣の機構は説明できない。何ゆえ、神経膠芽腫細胞は両者を発現するのに自爆しないのかの問いに、Decoy receptor 3(DcR3)の存在に注目して、臨床材料57例の星細胞性腫瘍(7 diffuse astrocytomas:DA,WHO grade II,16 anaplastic astrocytomas:AA,grade III,34 glioblastomas:GB,grade IV)を検討した。DcR3の遺伝子増幅の有無を半定量的PCR法を用い、DcR3mRNAの発現をリアルタイム半定量的逆転写PCR法を用い、さらに、Fas/FasL蛋白の発現を免疫組織化学法を用いて、それぞれ検討した。DcR3遺伝子増幅はAAの16例中1例(6.3%)に、GBでは34例中の7例(20.6%)に認めた。DcR3mRNAの発現はGBでより高い傾向を示した。DcR3遺伝子増幅とmRNA発現量は有意に相関した(p=0.02)。DcR3遺伝子増幅を認めたGB7例中5例にFasの陽性反応を、6例にFasLの陽性反応を認めた。以上より、GBはDcR3の遺伝子増幅を含むDcR3の高発現がFas/FasL依存性の腫瘍細胞死を競合的に阻害することにより、自爆機構を逃れることができるのではないかと推測された。今後、in situ hybridization法を用いて、壊死巣との関係を検討する。
|